失踪した旦那を探す妻。その様子に密着するドキュメンタリーを今村昌平は作ろうとしていたのに露口茂にその亭主を演じさせ初めて、露口茂と妻をくっつかせようとする。
何だその映画は。ドキュメンタリーのはずなのにここに居ない人間を追って迷宮へと迷い込んでいく。本筋などない。次から次に仕掛けなのか現実なのか分からない出来事と人間が現れ、遂には今村昌平本人が登場する。
加熱してしまった映画の中の人間達に対して「これはあくまで映画だから」と言い訳する姿が忘れられない。
荒らすだけ荒らして世界をめちゃくちゃにして終劇の文字で映画は終われるけどこれを見せられてモヤモヤした私達はその答えのない問いを一生抱えて生きていくしかない。恐ろしい映画。