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網走番外地 荒野の対決のodyssのレビュー・感想・評価

網走番外地 荒野の対決(1966年製作の映画)
2.0
【大原麗子さんの出番が少ない】

(以下のレビューは、13年前、大原麗子さんが亡くなった直後に某映画サイトに投稿したものです。現在、某映画サイトは消滅していますので、ここでしか読めません。)

先頃亡くなった大原麗子さんが出ているから、というのでDVDを借りて見てみましたが(見たのはこれが初めて)――

まず、大原さんの出番が少ない。馬に乗って颯爽と登場するのはいいけれど、その後の見せ場があまりない。残念です。

大原さんファンの立場を離れてみても、筋書きがイマイチよくできていません。高倉健に謎の銃使いがからむ展開はいいのですが、最後がいけない。悪を徹底的にやっつけるカタルシスがないのです。

それが実は、大原さんの出番が少ないという事情と関係している。ヒロインが、まっとうな牧場経営者の娘という設定の大原さんだけじゃない。地域全体の支配をたくらむ悪い牧場主の娘も、父親に似ず正義感が強いという設定になっている。時代が時代なので、若い娘は悪人にしないという倫理観が入り込んでいたのかもしれませんが、そのために悪の権化の父親への制裁が中途半端に終わってしまう。

もっと大原さんの出番を多くして、正義と悪の対比を強め、悲劇性を高めていれば、彼女のファンにとってだけでなく、映画ファンにとってもすぐれた映画になったと思うのですが。
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