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英国王のスピーチの1950720のネタバレレビュー・内容・結末

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

人間ドラマエンターテイメントとして上質の作品。なんといっても俳優陣が素晴らしくいい。今、世界中で吃音を乗り越えるイギリス国王を演じられるのは、このコリン・ファースしかいない。彼を支えのちに強い友情が芽生えるティーチャー役にジェフリー・ラッシュ、また妻には ヘレナ・ボナム=カーター。キャスティングに一切の抜かりはない。

観ながら、第二次世界大戦勃発前夜という激動の渦中にあって個人的な問題を乗り越えねばならなかった王という立場の苦しさを感じとったし、キャラクターの細かい描写とエピソードの積み重ねが見事で、最後のスピーチには心が熱くなった。

が、一方違う観点から観れば、これも立派なプロパガンダ映画だということもできる。史実を元にした映画と史実を忠実に描いたものは似て非なるもの。映画である以上、実在の人物だろうが出来事だろうが脚色は当然ある。しかも現実に即したエピソードの取捨選択は製作者が(遺族との)条件をクリアすれば、いかようにも操作することは可能だ。

アカデミー賞を受賞したこの映画にも様々な角度から考察や評論がされている作品であるという認識はあったほうがいい。実在の人物をモデルにした映画のほとんどはそうであり、あとは、観た人の志向嗜好に合うか合わないかだけとも言える。

これは映画である。そして製作者は対象となる観客により訴える、もしくは攻撃されないようにあからさまに脚色をするのが普通である。だからこそエンターテイメントとしてストレートにたくさんの共感や教訓や感激を与えてくれるのだ。

実はナチス親派という側面をもったアメリカの人妻との恋愛を選び、王位を捨てたガイ・ピアースが説得力のあるとてもいい演技だった。
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