ライオネルとバーティの関係がたまらない。
イギリス皇室の映画でここまで熱くなれるとは思わなかった。
歴史に疎い自分にとって初めて知った話だったが、非常に興味深かった。
今でも語り継がれているらしいこのスピーチ。調べてみると、どうやらイギリスはスピーチがかなり重要なものとして見られているよう。
吃音症の主人公がそんな国でまさか国王になり、それが実話だなんて。題材が非常に良かった。
師匠として友人としてのライオネルの存在も、作品全体を熱いものにしていた。
ラストのシーンで名前ではなく陛下と呼ぶところは、師匠としての役割を終え、友人としても尊敬の念を抱いているようで非常に温かいシーンだった。
独特なカメラワークは話に合っていたと思う。個人の葛藤とマンツーマンのレッスンは顔のアップによってお互いの焦りや苛立ち、喜びなど様々な表情を映し出していた。
ラストのスピーチの前後に歩く廊下のシーンはより顕著でこのカメラワークがあってこそだと思う。
引きの絵が出てくるとそれはむしろ新鮮で、室内装飾等にしっかり目がいくようになった。
全てのシーンに意味が感じられるカメラワークだと思う。
マイクが敵であったり、赤いランプを目玉のように表現するのも非常に面白い。
戦争開始の宣言の前にここまで激しい戦いが静かに繰り広げられていたとは、と思い知らされる。
主人公がバディと組んで勝利を勝ち取る。
タイトルからは予想のつかないこの映画は意外に間口の広いものに感じる。
トムフーパー監督作品はレミゼラブル以外初めてだった。
レミゼラブルもほとんど忘れてしまったため独特なカメラワークや演出が新鮮だった。
コリンファースの演技が非常に良くて、カメラがアップになっても、表情の微細な変化や、吃音症の演技の不自然さは感じられなかった。