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エデンの東のbluetokyoのレビュー・感想・評価

エデンの東(1954年製作の映画)
3.5
エリア・カザンの作品。若いころ、欲望という名の電車、波止場、エデンの東、と見たが、申し訳ないけど、全部忘れた。
覚えているのは、知性ある野良犬みたいな凶暴なマーロンブランドとジェームズディーンだけだな。
たぶん、エリア・カザンは名作を作るよりもキャスティングにエネルギーを注ぎ込む監督なのかもしれない。
エデンの東も、キャル役がジェームズディーンではなかったら、凡作だった気がする。
ストーリーである。
当時としては珍しい女性実業家、ケートの後を付けるキャル。ケートの家まで付いていく。ここらへんは、キャルがガキっぽくていい。
そこまでするために貨車の屋根に上って移動するのだ。寒いのでセーターを被っている。
うちに帰ると、氷の倉庫で双子の兄、アロンと恋人、アブラがいちゃついている。二人はキャルが覗いているのに気付く。アロンはせせら笑ってこれ見よがしにさらにいっそういちゃつこうとする。
やおら、キャルは氷を次々と落とし始めるのだ。こいつ、気が狂ったのか、と周りが心配して集まってくるが、実は、ちゃんと理由があったりする。それよりも、アブラはかなりキャルにドキッとしたに違いない。
父親のアダムに叱られるが、亡くなったと聞かされている母親が、実は生きているんじゃないの、とキャルが言い出すと、アダムは口を濁す。
なんで、アダムは氷を集めているのかというと、レタスを氷と一緒に貨車に乗せて、輸送しようと思っていたのだ。
いよいよ、レタス冷凍輸送計画が実行される。ところが、貨車は途中の雪崩で長時間立ち往生してしまう。氷は解けて、計画は大失敗。アダムはがっくりとしてしまう。
キャルは、その穴埋めのために豆の先物取引を思い付く。ちょうど第一次世界大戦にアメリカが参戦する寸前で、そうなれば、豆が値上がりするに違いないのだ。
そう読み切ったキャル、さっそく豆を買い付けようとしたが、元手がない。どうしようか、そうだ、ケートに借りればいい、そう思い付く。
ケートの店に、直接乗り込む。ケートの店というのは、映画では、賑やかな酒場とだけしかわからないが、原作では売春もやっているのだ。きわどい店、というか、あこぎな商売をケートはやっているわけだ。
そんなわけで、実の母と子、ということでもあり、まんまと元手の5000ドルを手にするキャル。
豆の成長と第一次世界大戦への参戦をウキウキしながら待ち望むキャル。
一方、兄のアロンは人道的な見地から、第一次世界大戦への参戦に反対で、はしゃいでいるキャルを憎々しく思っている。
ある日、巡回遊園地がやってくる。アブラはアロンとのデートのための待ち合わせで来ていたが偶然キャルと出会う。そこで、アブラは、アロンは自分に聖女を求めているけど、自分はそんな女じゃないし、堅苦しいと悩みを訴える。
予定通り、豆の高騰で大儲けするキャル。さっそく、レタスで失敗した分のカネを父親にプレゼントするために父親の誕生日会を企画する。
当日、楽しそうな父親に、キャルは、ジャーン、失敗した分のカネだよ、と渡すが、父親は、いったい、どうやって、こんな大金を作ったのだ、と聞く。キャルは得意げに豆の相場で当てたんだよと答える。
ところが父親は、徴兵委員会もやっていて、第一次世界大戦には心を痛めていたりするので、戦争を利用してカネ儲けをするなんて、なんてヤツだと怒り出す。
今度は、アロンの番。ジャーン、オレは、アブラと婚約する、これがプレゼントだよ。父親は大喜び。
映画を見ている側としては、すでに、アブラの心は、アロンではなくキャルを向いていると知っているので、なんだ、この父と子は、と思ってしまうに違いない。
キャルは絶望に打ちひしがれて、外に飛び出す。キャルを追いかけるアブラ。
なんで、アブラは、キャルのところに行くかなーと、アロンも付いていき、無理にアブラを引き離す。追い打ちをかけるように、ずっと前から、てめえのこずるい料簡はわかってたんだ。もう二度とアブラに近付くんじゃねえ、と告げる。
これで勝負あったな、と笑みのこぼれるアロンの前に、さっきの泣き顔からふてぶてしい顔付に変貌したキャルが現れる。
実は、母親が生きているって、お前は知らないだろ。いま、会わせてやるから、一緒に行こうぜ、いやならいいんだが、と切り出す。
このあと、二人で貨車の屋根に乗って移動したのか不明だが。
キャルはアロンを例の店に連れて行き、ケートの部屋にアロンを放り込み、ドアを閉める。すっかりパニくったアロンの叫び声。
アロンは人格崩壊して、兵隊になり第一次世界大戦に行ってしまった。それを見て、父親のアダムは脳卒中を起こして倒れる。
寝たきりになったアダム。そこへアブラがキャルを連れて来る。
アブラは必死になってアダムへ、このままだと、キャルは一生、罪人として苦しむ、なんとかして! と訴える。
アダムは、キャルへ、看護婦が気に入らない、お前がそばにいてくれ、と言う。
お前を許す、と直接言わないところがいいのかもね。
一番の見せ場は、やっぱり、誕生会だ。痛めつけられ泣きじゃくっていたキャルが、木の陰で見えないが、いつの間にか魔王として復活する。
アロンはこの後どうなったんだろう。原作を読んでいないのでわからない。
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