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いのちの紐のmのレビュー・感想・評価

いのちの紐(1965年製作の映画)
4.8
シドニー・ポラック初監督作品。「THE GUILTY/ギルティ」の元ネタとも言えると思う。確実に「ギルティ」の監督はこれを観てるはず。

「ギルティ」と同じく自死に瀕した女性と電話を受けた男性との緊張感のあるやり取りの物語なのだけど、今作が面白いのは女性側の事情が回想シーンでたっぷりと描かれていて、電話の駆け引きよりもむしろそっちの方に主軸が置かれている印象な事。そこでの女性の心理の細やかな描写が良くて、この時代とは思えない女性映画としての素晴らしさがこの映画にはあった。この当時だと許されないような、『貞淑』ではない女性の理解されない苦悩に映画は真摯に寄り添っている。

アン・バンクロフトの繊細な演技(無言で雄弁に語る表情と眼の豊かさ!)と、シドニー・ポワチエの熱演が素晴らしい。
カメラワークの巧みさと音楽にもご注目を。
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