LuckyMOTOMIYA

グラン・トリノのLuckyMOTOMIYAのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.0
2008年、クリント・イーストウッド監督、ニック・シェンク脚本によるドラマ。

朝鮮戦争の帰還兵でフォード社の元自動車工、ウォルト・コワルスキーさんはとても気難しいおじいさま、長年連れ添った最愛の妻に先立たれ、息子や孫の言動にイチイチ腹を立て、戦場を知らない若い神父が生死を語るのもお気に召さないご様子、とりわけ、お隣に住む東南アジア系移民、モン族の一家が鬱陶しくて仕方がない…、そんな折あろうことか、そのモン族の少年タオが愛車グラン・トリノを盗もうと試みて云々…、民族と世代の違いを越えて描かれる人間ドラマ。

罪の意識に苛まれつつも、気に入らない場面に遭遇するたび唾を吐いては悪態をつきまくるご老人ウォルトの役柄を、監督も務められたクリント・イーストウッドさんがご好演。

外見は親しみ深い名優クリント・イーストウッドさんながら、初めて出会った偏屈な人種差別主義者、ウォルト・コワルスキー氏にしか見えない辺りは流石。

モン族のご姉弟、スー姉さんと弟タオ君、それから教会の若き神父ヤノビッチさん、三者との距離の縮め方がそれぞれ異なり、現実味がございます。

他方、終盤のあの電話はいかがなものでしょう。脚本の展開上、要請された所謂「ご都合主義」というやつではないでしょうか。その直前、タオ君が大声を上げながら金網を叩く場面も力がこもっておらず…いえ、申し訳ありません、単なる重箱隅つつきでございます。

実の息子スコット・イーストウッドさんがお母さまの苗字、スコット・リーヴス名義でご出演、それなりに重要な役どころですが、ほんの一瞬でご退場。
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