やたら良い体つきの男たちがオリンピック競技に勤しんでたり、女性の雰囲気のある踊りに『光る女』のようなけったいな格闘シーンがあったりで冒頭から不思議な雰囲気。そよ風が吹く画面に乗っかる恋愛劇は良いけれど、後半の合戦から収集が付かなくなる。

ペルシャがアテネに侵攻してくるので敵対するスパルタに援軍を頼む、マラソンの起源を題材にした話。
ジャック・ターナー監督作とあるけれど、諸説あるらしく、ターナーが監督してたけど撮影延長に同意せず、カメラのマリオ・バーヴァが完成させたとか、ターナーはほとんど監督しないでブルーノ・ヴァイラティが監督してバーヴァが完成させたとか。とするとターナーの演出部分は？ターナーとバーヴァ、ホラーの大家が邂逅したアクション史劇。なかなか面白い。戦いの火蓋は投げられた髑髏。
終盤の水中戦は褌軍団の幻想的な水中撮影。水中バレエ団かな？いや「ダグラスの海賊」からのインスパイアだと思う。憶測だけど脚本家ということになっているブルーノ・ヴァイラティがダグラス・フェアバンクスのファンだったんじゃないかと。同じリーヴス主演「バクダッドの盗賊」の脚本家（兼監督）だし。
と、いうわけでスティーヴ・リーヴスはイタリア映画界に現れたダグラス・フェアバンクスの後継者と言いたい。
ヒロインはミレーヌ・ドモンジョ。リーヴス主演作はヒロイン役女優が豪華になる傾向。とはいえドモンジョは同ジャンルに３作出演しているわけで。他はジェフリー・ハンター主演「シーザーの黄金」、ロジャー・ムーア主演「サビーヌの掠奪」。
悪女はダニエラ・ロッカ「ペルシャ大王」。悪役はいつものセルジオ・ファントーニ。スパルタの援軍は同ジャンルの主演作もあるセルジオ・チアーニ（アラン・スチール）。

ミレーヌ・ドモンジョ主演「ローマの恋」60年はドモンジョ扮する女優の卵が同ジャンルのヒロイン役を演じている撮影風景がある。しかも監督役がヴィットリオ・デ・シーカ。

• #イタリア製マッスル古代史劇の栄光

【フィルム・ノワール、勝手にベスト50】過去を逃れて