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明治大帝御一代記
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『明治大帝御一代記』に投稿された感想・評価

日本が非戦の国へと変貌してから80年目の夏、あの戦争と現在の日本についてしっかり考えておくために靖国神社を初めて訪ねてみた。帰宅後に併せて本作を観たことで日本近代史を相対的に考えることができた。

靖国神社には日本最大の戦争博物館「遊就館」がある。人間特攻機“桜花”と人間魚雷“回天”が展示されているのは知らなかった。どちらもその名が冠された映画を観て強く印象に残っている。そして、靖国神社正門の巨大な菊の紋章は、新東宝の“明治天皇三部作”で「君が代」と共に象徴的に映し出されていた。

本作は同三部作の総集編に新撮パートを加え、明治天皇の誕生から逝去までの伝記映画としてまとめられている。新撮パートには、明治天皇が誕生した現・京都御苑、黒船来航、明治維新の指導者だった西郷隆盛(演・岡譲司)の物語(※後に逆賊扱いされ靖国神社には祀られていない)、会津・白虎隊のエピソードなどが挿入される。このチョイスには総監督を唯一務めた大蔵貢社長の右翼的美学が反映されていると思う。全編に渡って“愛国心と自己犠牲精神”への絶対的肯定が貫かれている。

本作はいわば靖国神社と言うより明治神宮の理念の映画化、即ち戦前日本人の精神を支配した“明治天皇と国家神道の素晴らしさ"を描く宗教映画と言える。戦後に作られた国家神道プロパガンダ作品であり、後の安部元首相支持者にまで連なる右翼的エモーションであふれているように感じられた。

元となった三部作の一本目「明治天皇と日露大戦争」(1957)は動員2000万人を記録し「千と千尋の神隠し」(2001)に超えられるまで歴代興行動員記録第一位の座を半世紀近く譲らなかった。敗戦十余年目の日本人は強かった明治時代の祖国を振り返り胸を熱くしたのだ。続く「天皇・皇后と日清戦争」(1958)、「明治大帝と乃木将軍」(1959)と併せて、戦後日本の大衆精神史を考える上で重要な作品群であることは間違いない。

ちなみに明治神宮の初詣参拝者数は例年300万人以上で全国一位を続けている。日本人は無宗教のように見えて(アメリカで言うところの)反知性主義的な宗教信者が大多数だと考えている。明治神宮の参拝者が多いのは首都圏で交通の便が良いことも影響しているだろうが、国民の中で無意識のうちに国家神道スピリチュアリティが醸成され、最も高位な聖地と印象付けられているのではないか。「パワースポット」とか「癒された元気をもらえた」などの文言は宗教的心性によるものだ。ちなみに靖国神社の初詣参拝客は例年35万人ほどだが、昨今の国内情勢を鑑みると今後爆発的に増える可能性があるだろう。

「遊就館」で食べた海軍カレーはまろやかな味わいで、暑さで弱った身体に心地良く沁みた。あの戦争で亡くなった230 万人の兵隊とその家族たちに思いを馳せた。館には夏休み写生会の子供たちが描いた桜花や回天の絵が何枚も掲示されていた。売店には日章旗と共に「日本会議」系の日本賛美本がずらりと並んでいた。

土産に靖国神社の神札を買い、部屋モニターの上に祀って本作を観た。引き続き今夏は日本軍による戦争加害映画を鑑賞する予定。弱い自分がエモーションに流されず戦争を相対的に考えられますように。







■あの戦争と現在の日本について自分の為だけのMEMO

①敗戦までの日本は絶対主義的な宗教国家だった
ペリー黒船来航と日本開国(1854)を経て、明治元年(1868)に日本は近代国家として幕を明けたとされる。しかし太平洋戦争敗戦まで施行され続けた明治憲法は「万世一系の天皇之を統治す」(第1条)「天皇は神聖にして侵すべからず」(第3条)と明記、日本人のアイデンティティーは“天皇神の民”として形成されていた。戦争出兵は天皇神と神国日本の為。戦死者の魂は靖国神社に集まり、天皇神の慰霊により国を見守る神霊となる設定。
★宗教国家&閉塞された島国なので国民が反戦思想を持つ事は困難

②敗戦によりいきなり宗教国家から無宗教国家に
1945年、敗戦と天皇の人間宣言により日本国民はアイデンティティーが崩壊。戦勝国アメリカの指導で資本主義をまい進するが、天皇神道に代わる国家の精神理念は存在せず。取り合えず大衆はアメリカ人の理念を模倣(キリスト教の行事も導入)しながら生活向上を生きがいに、1960年代まで高度経済成長が続く。ただし国民の一部は神道国家時代に憧れ続け「戦後右翼」となる。
★戦争はA級戦犯の責任とし、天皇と国民は戦争被害者として平和主義を唱える

③天皇のリベラル化と新興宗教ブーム
1968年、反共右派団体「勝共連合」が統一教会と岸元首相らによって設立。1970年に三島由紀夫自決。1975年を最後に昭和天皇は靖国神社参拝を中止。極右は理念の拠り所を失ない始める。
1989年に平成天皇が即位。1991年にソ連が崩壊し東西冷戦は終わるが、一方では1990年にイラク対アメリカ多国籍軍の湾岸戦争が発生。この頃から日本は経済成長が停まり「失われた30年」が始まる。国家の精神理念は空っぽのままなので、精神的拠り所の受け皿としてスピリチュアルやオウム真理教など新興宗教がブームに。
★日米安保条約は固定化、リベラル志向の平成天皇に右翼が反発

④ネット右翼の発生と神道国家時代への回帰願望
1995年 Windows95発売
1995年 阪神淡路大震災
1997年 神社本庁などが中心となり日本最大右派団体「日本会議」設立。
1997年「新しい歴史教科書をつくる会」結成
1999年 自民・公明(=日蓮宗創価学会)が連立政権
2001年 アメリカで9.11テロ事件
2006年 第1次安倍内閣成立 スローガンは「美しい国、日本」
2006年 ヘイト団体「在特会(在日特権を許さない市民の会)」結成
2008年 iPhoneが日本でも発売されSNSが普及
2011年 東日本大震災
2012年 第2次安倍内閣成立
★大地震で不安になると保守・右派が影響力を強める
★SNSで在野右派(ネトウヨ)の連帯が一大勢力化
 →排他主義と分断を増長

⑤日米ともに反知性主義が世論を席巻し大きく右傾化
2017年 第1次トランプ政権
2019年 令和天皇即位
2020年 新型コロナの世界的流行
2022年 安倍首相銃撃事件
2022年 ロシアがウクライナ侵攻
2023年 パレスチナ・イスラエル戦争勃発
2024年 第2次トランプ政権
2025年 参院選で日本の政局が大きく右傾化
★資本主義の行き詰まりにより日米大衆が理性的判断停止傾向に

敗戦により無宗教国家になった日本はアメリカ属国として資本主義とリベラル志向を続けてきたが、現在は行き詰まり路頭に迷っている。手本のアメリカは逆に宗教国家色を強め、キリスト教右派の反知性主義勢力が政治への影響力を高めている。

反知性主義の特徴は、仮想敵を作り被害者意識により連帯する陰謀論的ポピュリズム。リベラル派を知性的なエリート主義とみなし憎んでいる。 

今回の参院選では大衆の反知性主義的傾向が目立ったが、日本はアメリカのような宗教的バックボーンが既に無いため、理念なき反知性主義=愚民化しているのが現状と思われる。愚民は強力な指導者への依存を求めるため、現在の日本はファシズムの発生しやすい状況と言える。

一方、反戦に関する意識について。日本人はあの戦争の加害責任を感じずに過ごしてきたため、世界の中で自国がどう見られているかを相対化できない。被害者意識から平和を唱えるが、そこにあの戦争に対する反省は殆ど皆無なのではないか。

責任感が無く被害者的に思考する傾向が、いつしか国民性として根付いたかもしれない。その思考傾向は陰謀論と最も親和性が高く、さらに宗教的耐性が無い事も洗脳されやすさに結び付く。宗教国家時代を望む右派の大きな声に、例えそこに非常識な陰謀論が含まれていたとしても、たやすく信じて吞み込まれてしまいそうだ。

ただし戦前とは違い、今上天皇はウルトラセブンを愛するリベラル派として知られるので、右派が現天皇を担ぎ出しての神道国家回帰を望んでも叶わないだろう。危険があるとしたら、神道国家時代の理念を掲げるファシスト政治家の登場だ。その可能性は決して低くはなく絵空事とは言えない。機は熟している。
総監督大蔵貢。187分の大作かと思ったら、旧作を繋いだ再編集版。日露戦争は渡辺邦男。日清戦争は並木鏡太郎。脚本表記なし、舘岡謙之助の作品引用だと思うが。一部撮り足しもあり。