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ダウン・バイ・ローのkuuのレビュー・感想・評価

ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)
3.8
『ダウン・バイ・ロー』
原題Down by Law.
映倫区分G.
製作年1986年。上映時間107分。

ジム・ジャームッシュの監督第3作。商業デビュー作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』に続いてのタッグとなった常連ジョン・ルーリー、ジャームッシュが敬愛するミュージシャンのトム・ウェイツ、そしてイタリアの喜劇俳優ロベルト・ベニーニを迎えて描いた。
刑務所で同房になった3人の男が奇妙な友情で結ばれ、偶然見つけた抜け穴から脱獄に成功する。
彼らが外の世界で行く当てもない旅を繰り広げ、やがてそれぞれの道を歩み始めるまでを独特のユーモアで描くアメリカ・西ドイツ合作作品。
トム・ウェイツが音楽も担当。
ロビー・ミュラーによるモノクロ撮影も見どころ。

今作品はアメリカの『ありのままの姿』を伝えてたいと望み、同時に、映画製作におけるかなり新しい美学を表現していると思います。
この美学には、地面に近いところに固定されたカメラ、みすぼらしい現実の写真、そして人間の絶望と希望、愛と憎しみ、特に子供のときに感じたことを思い出すとよな、これらの感情のナレーションが含まれてます。
しかし、それは単なる美学じゃなく、それはまた、世界を見る新しい方法を表してるんかな。
道徳的でなくとも、新しい倫理観を提示して、さらに、この映画は心理学的にも非常に説得力がありました。
主な人格のうち、最初に刑務所に入る二人は、先天性で、ナルシスト。
潜在的な同性愛者。
彼らは、現代のほとんどの人を代表しているようかな。
この後、彼らは、互いを必要とする純粋な気持ちにもかかわらず、どんなに憎しみ合っていても、別れることになる。
哀れなイタリア人はワニと一緒に沼に取り残されるが、彼の選択はエディプスの選択、すなわち愛の選択であり、現代ではほとんど不可能に見える選択でもある。
エディプスの情念がいかに残酷であろうと、現代の若者には面白くも何ともないように見えるかも知れない。
今作品の監督のように、人生において何が重要なのか、失われた感情、つまり、我々のうちの何人かのみが自分の子供時代に取り戻すことができる感情を、見出させようとしているんやろうか。
今作品の二人のナルシストたちは、もっと自信に満ちていて、これから起こるすべての危険を克服することを確信していた。
すばらしい新世界やなぁ。。。
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