椋太

時をかける少女の椋太のレビュー・感想・評価

時をかける少女(2006年製作の映画)
3.8
夏空,緑,蝉の声,汗,坂の上の家.バッハも,東京国立博物館も好き.
たしか,テレビ放送を今回と同様にたまたま観て,翌日テニス部の部室で奥華子めっちゃいいじゃん!!って報告したのを覚えてる.10年前か.

だから,どうしても高校時代を思い出して,俺の純粋さと全力はどこへいったんだろうなと少し落ち込んでしまう.
いつかだんだんと全力で走り抜ける頻度は減っていく.わざわざ壁にぶつかるような無茶もしなくなっていく.泣くほど新鮮な思いも,そうしない.年齢と共に期待することを失って,可能性を失って,そうして失われることが純粋さの性質かもしれない.なんて少し思ったり.

時間は待ってくれないけれど,だからこそ,何度でも全力で走り抜けて,より深く失敗する,より深く心に刻む.人生に守る価値なんてないから,出し惜しみする必要もない.そんな屁理屈を固めれば,少しは自由になれるかな.そんな思いにさせてくれた映画でした.
椋太

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