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華麗なる闘いの一のレビュー・感想・評価

華麗なる闘い(1969年製作の映画)
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良かったなー。ファッション業界を舞台にしたドロドロした内幕モノかと思わせておいて、100%内藤洋子の青春アイドル映画になっていた。服飾学生から突然オートクチュールの縫い子にスカウトされた洋子は、最初は何もわからず店の裏口から入らされ、やがて正面玄関を堂々と通り抜けるようになり、しかし最後にはデパートの裏口から一人で去っていく。常道の出入口演出。結果だけ見れば若者が大人に負かされる挫折・敗北の映画なんだけど、それが「大人ってきたない!」にならず、「大人ってすごいな…」という台詞で終わるのが爽やかで好きだ。抜かりなく強かに若手の芽を摘んでいくボス岸恵子流石すぎるし、パトロン神山繁の胡散臭さとスケベな顔も素晴らしい。クライマックス、恵子渾身のサイケなファッションショーで、それまでパリっぽくエレガントなピアノを聴かせていた八木正生がグルーヴィー正生に変貌。ショーの見せ方もいかにも60年代末ってかんじで面白いけど、正生も大変いい仕事。
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