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リトル・ダンサーのERIのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.5
前からずっと気になっていた「リトル・ダンサー」。見れて良かった。作品自体もとても良かったけど、タイミングがとても良かったです。自分の今の気持ちと重なって背中を押されるみたいで(^-^)

スティーブン・ダルドリー監督の長編映画デビュー作。前編に渡り、音楽が巧みに使われています。ダンスのシーンも、そうでないシーンも、音楽がキーとなってる。

舞台は1984年イングランド北東部の炭坑町。訛りがきつくて初め「これ英語??」ていうぐらい聞き取りにくかったです。慣れたら、なんとかわかりますが。

主人公のビリーは、ママを亡くして悲しみに暮れています。少し痴呆症っぽいおばあちゃんとパパとお兄ちゃんトニーの4人暮らし。パパとトニーは炭坑で働いているけど、ストをしていて貧乏です。そういう時代背景の中でビリーはフェミニンだと捉えられがちなバレエダンサーという存在に出会い、夢を通して成長し周りも変わってゆく姿を描く・・・これが大筋。

ただただ号泣でした。すごい良かった。オススメです!!

まず主人公のビリーが最高に魅力的で、色が白くて綺麗な顔していて可愛い。そういう容姿の奥に秘めた怒りや悲しみや喜びを垣間見せる所が本当によかった。2000人以上から選ばれたのが頷ける程。絶妙な表情とダンスを見せてくれます。フェミニンだとバカにされるけど、骨があって男性のバレエダンサーという一つのジャンルをうまく表現している。台詞にも「アスリートとして。」ていうのがあって、それに向かっている感じが表現されています。

ジェイミー・ベル自身も6歳ぐらいからダンスを習ってきたようで、でもそれを周囲に隠しながら練習してきたという環境もぴたりと合っていたみたい。恥ずかしさと、それでも踊るのが好きな気持ちがひたむきに表れていました。こっそり練習してるシーンやなかなかうまく出来なくてやっと出来た時の表情なんて、こっちまでニコってしてまうぐらい絶妙です^^

そして、もう一人。この映画のキーパーソンである頑固なパパもすっごい良かった。泣きました。彼の変化していく気持ちや現状の苦悩、パートナーを亡くした寂しさとそれを乗り切る辛さ。家族を養う包容力と自分の意志との闘いが、とても切なくて嬉しくて男親ならではの不器用さが、存分に表現されていて泣かされました。親って偉大です。

もちろんビリーの才能を最初に見抜く先生や、その娘でありビリーの恋する相手、ビリーの親友であり複雑な心を抱くマイケルも、ビリーの兄トニーも、おばあちゃんも、それぞれにいい味を出しています。

壁に向かって踊り出すシーンと、父の前で初めて踊るシーンは見所です。

前半のビリーのくすぶる気持ちと塞がったままの炭坑町の現状と、後半のだんだん変わりゆく様子とのテンポがすごい好き。

当時13歳だったジェイミー・ベルも大人になって、今後にとっても期待しています。
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