世の中には本当に、踊ることでしか生きられない人たちがいる。
そういう人たちがダンサーになるわけなのだけれど、ビリー少年もまさにそのひとりである。
母を亡くし、炭鉱夫の父と兄はストライキに命をかけている。想像以上に重苦しく、どうすることもできない気持ちを日々抱える中で、バレエに出会う。
たったひとりでも、自分の存在に気付き、理解してくれる大人が近くにいれば救われることもあるのだ。
ビリーと友人マイケル、そして周辺の大人同士の関わり合い。そのすべてをシンプルでありながらも深く抉るように描写している。
ダンスに余計な言葉はいらないのだ。この作品が描く「電気」と、幼い頃の自分に思いを馳せてしまった。