kazマックスグローバーレッド

散歩する惑星のkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

散歩する惑星(2000年製作の映画)
3.8
全裸のおばちゃんや、切り立つ崖のような採掘場から身投げする人間。どこかで見た夏至祭り的なスウェーデンの伝統儀式アッテストゥパン描写。『散歩する惑星』はスウェーデン映画なので納得。

予告編ではジャックタチmeets キューブリック in ストックホルムって紹介してた不思議な世界観。

大渋滞の街中。ロープを持った団体が自身と前の人をシバきながら歩くデモ行進。30年1日も休まず勤務していきなりリストラされるオジサン。マジックショーで観客の1人 冴えないオジサンを選び胴体切断のボックスに入れてノコギリでギコギコ、「痛い痛い痛いっ…」と嘆くオジサンは、もはやダチョウ倶楽部。ほとんどのシーンがシュールで みんな顔が青白く前衛アート的。

『グランドホテル』っていうクラシック映画があって、ホテルを舞台に様々な人々を描いた内容で、この映画以降の群像劇を[グランドホテル形式]って呼ぶけど、『散歩する惑星』でも「グランドホテル」ってセリフが出てくるように不条理な世界で生きる人々の群像悲喜劇になっていた。

DVD特典のメイキングではひとつのシーンだけに1ヶ月費やし、かかった撮影期間が4年間。奥行きのあるだだっ広い空港カウンターに 遠くまで続く大渋滞などの背景は 絵やミニチュアを使って再現して全てアナログ、それがこの映画の売りらしく、好きな世界観でした。