りょうすけ

ストレンジ・デイズ/1999年12月31日のりょうすけのレビュー・感想・評価

2.0
「ストレンジ・デイズ/1999年12月31日(吹替版)」

監督キャスリン・ビグロー、脚本ジェームズ・キャメロンという最強元夫婦(公開当時既に離婚済み)で製作されたB級SF映画。

「スクイッド」と呼ばれる他人の五感を体験できるVR装置の中毒化に加え、新時代を目前に人気ラッパーが射殺されたニュースが報じられ混沌化する1999年末。元警官のレニーの元に知り合いの娼婦が助けを求めるところから物語は始まる。

DVDがプレミア化し、現在は視聴困難なカルト的作品となってしまっているが、カルト化して然るべき作品のように感じた。2時間半弱も上映時間があるにも関わらず、展開が大きく動き出すのは開始1時間程度経ってからで、死ぬほどスピード感がない。
いかにも世紀末に作られたような雑な内容のSFなので、どこかで見たような展開の連続である。

またこのスタッフからは想像できないほど、残虐な性暴力シーンがあるので、TV放送もなかなか叶わなかったのだろう。ジェームズ・キャロンの名を持ってしても知名度が低いのはそのせいだと思う。

しっかし、キャメロンの描く悪役は清々しいほど悪役をしている。「アビス」のコフィ大尉、「タイタニック」のキャルドン、「アバター」のクオリッチ大佐などは背景があるものの、あまり感情移入できる悪役ではないし、「ターミネーター」に至っては相手が機械という無機質なもので、感情移入をする余地がない。今回の悪役も明らかなる悪として描かれていることからもキャメロンはそういうヴィランを描きたいんだなと思った。

舞台設定は全く異なるが、ビグローの「デトロイト」はこの作品を踏まえて観ると新たな発見があるかもしれない。
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