柏エシディシ

終電車の柏エシディシのレビュー・感想・評価

終電車(1980年製作の映画)
4.0
「生誕90周年上映フランソワトリュフォーの冒険」にて
ナチス占領下のパリ。弾圧や困難に耐え街の人々の一縷の希望となる演劇場を切り盛りする女優マリオンの奮闘と、ゲシュタポの監視を逃れ地下に匿われる彼女の夫、密かに彼女に想いを寄せる新進俳優とのロマンスを描いたトリュフォーの傑作。
見どころはズバリ、女盛りのカトリーヌ・ドヌーヴの凛とした美しさ。
「反撥」や「シェルブールの雨傘」ももちろん良いけれど、本作の彼女がやはり1番好きだ。
「突然炎のごとく」の変奏の様な三角関係。ヒロインは優柔不断でも翻弄される訳でもなく、2人の男をそれぞれに愛情を注ぐ。
しかしジャンヌ・モローのカトリーヌと違うのは、そこには芸術を通じたある種のフェアネスがあり、その終幕にも悲痛さより嫋やかな余韻が残ること。
女主人のマリオンを中心とした劇団の擬似家族的な佇まいや掛け合いも楽しい。
トリュフォーが自身の幼少期の記憶や実在の演劇人たちをモチーフに描いた物語。
逆境の中でも文化の灯火を残し繋げようとする先人たちの姿は、今のコロナ禍の状況も思わされたりもして熱くなるものがある。
しかし、トリュフォーは例によってウェットになり過ぎない軽やかさで綴ってみせてくれて、本当に、粋だ。

ナレーションで駆け足でエピソードをたたみはじめるトコロが、ウェス・アンダーソンっぽーいと思っちゃったけれど、実際は、ウェスがトリュフォーっぽいのだったw
そいやオーウェン・ウィルソンはジェラール・ドパルデューっぽい
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