ミシンそば

終電車のミシンそばのレビュー・感想・評価

終電車(1980年製作の映画)
3.7
1942年というフランスにとって最悪な時代が舞台なだけあって、ある程度のバッドエンドも受け入れる態勢で臨んだが、意外や意外ランタイムの長さは一旦置いておくとしてすんなり、安心して観れた。
っていうかフランス映画って本当に舞台裏映画好きね。

ややチャラいファーストインプレッションを抱くベルナール(ドパルデュー)と、やや冷血なファーストインプレッションを抱くマリオン(ドヌーヴ)、マリオンの夫で舞台支配人兼演出家のルカ(H・ベネント)の三角関係…と言っていいのか?
そこに当時の情勢(親独軍コラボラトゥールやレジスタンス、戦時下の停電や夜間外出禁止など)が絡んだのを、トリュフォーが実にうまく料理したって感じの仕上がりだ。
序盤から中盤は割かしベルナールが地味で、マリオンの独壇場とでも言うべき映画だったが、クッソムカつく反ユダヤの批評家にベルナールが喧嘩を売ったあたりから彼の方も巻き返す。
こう言う悪意だけが真実のような時代を描いた物語にあって、多くの人の心持ちを重くしない仕上がりに持って行くのは流石だ。
それでも、トリュフォー作品にもっと触れていればもっと楽しめたかもと言う奥行きの広さは感じられたところだけが残念だったが、これは自分の問題だろう。

最後に関しては完璧に騙された!
レジスタンス云々言ってたし、マリオンがそれを言うだけの下地も整っていたからてっきりそうなのかと思った。思うでしょ!?