がちゃん

追悼のざわめきのがちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

追悼のざわめき(1988年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

嫌悪すべき映画である。
だけど惹きつけられる強烈な魅力がある。

マネキンを愛した青年。
彼はマネキンに菜穂子という名前をつけて愛する。

青年は女性を惨殺し陰部を切り取り、
マネキンの下腹部に押し込む。

このマネキンに引き寄せられるように、
若い美しい兄弟、浮浪者、小人の兄妹、傷痍軍人らが集まってくる。

近親相姦、カニバリズム、障害者差別など、
この作品に差別人権意識は全くない。
当たり前のこととして描かれている。

妹を犯した兄。
妹はそれが原因で死んでしまう。

その妹に死化粧を施し背負って街をさまよい、
土に埋める。
しかしそれを掘り起こして死肉を食らう。

小人の兄妹。
兄は親の遺言ということで、年に一度妹を犯す。
男を知らないまま死んでしまわないように。

その妹は、
マネキンを愛した青年に恋して嫉妬。

おなかの中に新しい命が宿ったマネキンを焼いてしまう。
これはこの異様な物語のほんの一部である。

他にも文章に書くのをためらわれる描写が多い。
僕には書けない。
本作の魅力を的確に表現するボキャブラリーが僕には圧倒的に不足していてレビュアーとして未熟だ。

この物語の舞台になっているのが、
大阪の西成、あいりん地区付近。
大阪で最もDEEPな場所だ。

ちょっとDEEPな大阪を歩いたことがある方なら、
ロケ地の特定は容易にできるはずだ。

例えば現在日本に残っている唯一かつ最大の遊郭“飛田新地”の料亭、
『鯛よし百番』が映り込んでいる。

日本最大の日雇い労働者の街あいりん地区に建つ要塞のような建物労働福祉センターで寝転ぶホームレスの姿もそのまま映り込んでいる。
釜ヶ崎と呼んだほうがしっくりくる方も多いかもしれない。

他にもジャンジャン横丁、新世界、今ではすっかり様相が変わってしまった阿倍野駅界隈でロケされている。

そしてこの物語の顛末をすべて見下ろしているのが通天閣。
これらのロケ地は物語の異様さも相まって、
まるで無国籍の様相を呈する。

このロケ地だから成立した物語なのかもしれない。

前衛的過ぎて、
僕にはついていけないところも多々ありました。
鑑賞するにはかなりの覚悟が必要だと思います。
ただただ強烈なのは認めるしかないのですが。

(海外の試写のとき、映写技師が吐いてしまったという逸話あり)

不思議な魅力がある作品です・・・
がちゃん

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