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新幹線大爆破のtakaoriのレビュー・感想・評価

新幹線大爆破(1975年製作の映画)
4.0
2023年134本目

記念すべきMark1000本目ということで、相応しい大作をチョイス(したつもり)。
子どものころに映画館で見た、劇場版名探偵コナン『時計じかけの摩天楼』は大好きな映画だが、「列車が減速すると爆弾が爆発する」エピソードはこの映画が元ネタになっていると知ったのは大人になってからの話。あとは皆さんご存知の通り、ヤン・デ・ボン『スピード』もそうですね。
スペクタクル大作でありながら、サスペンスや人間ドラマもしっかりしており、150分越えでも最後まで退屈せずに見られる。とは言え、警察があまりにマヌケすぎるのはいただけない。大した策もない犯人相手に失態を演じてばかりで、攻防にやや緊張感が欠ける。ここをもう少しなんとかすればさらに満足だった。
クライマックスがすっきりハッピーエンドにならないところもいい。新幹線は高度経済成長と科学技術の夢のシンボルではあるが、それがもたらすものが決してバラ色の未来などではないことを、当時の人々もすでに感じていたのだろう。
運転司令の宇津井健、運転士の千葉真一、犯人の高倉健が素晴らしいのは言うまでもないが、個人的に印象的だったのは新幹線総局長の永井智雄。確信が持てない中で新幹線を止めた後、目に涙を浮かべて何も言えずに倉持と視線を交わす、あのシーンは実に良い。正義のかたまりのような倉持と一見対立したようだが、彼も別の正しさを貫こうとして「責任は取る」と言い放った。その結果に対して、乗客が助かって良かったという安堵と、自分の判断は正しかったのかという迷いの混じった絶妙な表情。倉持の苦悩と相まって、この無言の演技が映画全体を引き締めている。
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