「もし津波が起こったら、子供たちには『ポニョが来たのかな?』くらいに思って欲しい」宮崎監督は本作について、たしかそうコメントしていた記憶がある。
もし本作が作られる前に東日本大震災が起こっていたら、おそらくこの企画は流れていただろう。津波があんなに恐ろしいものだという認識が、当時はなかったのだ。
小さな子供向けの作品は『トトロ』以来。「アニメは子供のもの」と考える監督はこういった作品をもっと作るべきだと考えていたのかもしれない。劇中で何が起こっても脅かされることがない、ほんわかとした作品である。
〝好きな相手といっしょにいたい〟という素朴な気持ちが前面に出ているところが印象深い。監督の作品はむかしからそうだ。恋愛において駆け引きとか打算というものが嫌いなのだろう。
「なぜポニョの本名はブリュンヒルデなのか?」とか「なぜフジモトは海で暮らすようになったのか?」など、いろいろと疑問はあるのだけど、むずかしいことは何も考えずに楽しむべき映画。ほっこりできて良い。
2008/夏 TOHOシネマズ西宮OS
[オリジナル音声+英語字幕]2024/11/12 Max (US)