[フォーエヴァー・ゴダール!] 90点
傑作。1996年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。世紀末ゴダール。90年代のトピックとしてユーゴ内戦と芸術映画の駆逐。具体的には『宿命のタンゴ』という映画を出資者に文句言われながら撮る映画監督一行とサラエボに演劇を上演しに行くその娘一行の旅路である。前者は風の荒れ狂う砂浜での撮影の中で、一行は気分屋な監督に振り回され、後者はサラエボに行く手前で捕虜になった一行が軍人相手に振り回される。特にサラエボ篇のありえないほど近い爆発には驚かされる。用意した全ての爆弾を俳優の真横で爆破してやる!ってくらい近い。流石、第二の『ウィークエンド』と言われるだけある。流れ弾で死んだ娘の生足が塹壕から突き出てるショット、エロチックすぎるよな。サラエボ篇が直接的な暴力だとすれば、戦時下にないフランス篇は間接的なそれ。不機嫌な老人、暴風、文句ばかりの出資者、文句ばかりの観客。タマタマは出てくるの?じゃねぇわ。そして、様々な会話が同時多発的に(半ば投げやりに感じるほど)行われる。誰も互いの話を聞いてない。『パッション』もそんな感じだった。