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マーティのkojikojiのレビュー・感想・評価

マーティ(1955年製作の映画)
3.8
この映画でアカデミー賞主演男優賞を受賞しているアーネスト・ボーグナインを最初に見たのは、ポセイドン・アドベンチャーだった。ニューヨーク市警の警部補ロゴ役だ。
主人公のスコット牧師と、ことあるごとに衝突するが、生存者達の救済に重要な役目を果たす。おこりん坊の実直ない性格が滲み出て、非常に印象に残っている。
先だって観た「地上より永遠に」では、モンゴメリー・クリフトに殺される役をしている。

この映画の主人公マーティは実直さがポセイドンアドベンチャーのロゴに共通する部分もあり、ロゴの若かりし頃を見るような感じがする。

モテない男マーティはこの当時だと中年で結婚を焦っている。そのため、同じ中年の独身仲間とつるんで毎週末は、彼女探しに苦労をしている。

たまたま、連れの男性から置いてきぼりをされた、こちらもモテない女性クララに声をかけて、二人は意気投合する。
この出会いのシーンのマーティのときめきの演技が実にうまい。微笑ましい。ついつい夢中で話してしまうマーティーが彼女を家に送り届けた後の充実感と彼女の余韻に浸るシーンは最高にいいシーンだ。

この映画は、こんな二人の出会いと、マーティの母親の息子の結婚に対する複雑な思いを爽やかに描いた良作だ。

この映画のテーマの一つに母親との同居問題がある。日本映画を観ているような気分になる。家族を大事にするイタリア系のアメリカ人の悩みは、日本と同じなのだ。もちろんこの問題が今でもトラブルの原因になっている家庭はたくさんあるだろう。ただ、この映画の中では、さらっと見せてそんなに重くはならないからご安心。

他のアカデミー賞作品賞の作品に比べると小粒だが、面白い、いい作品だと思う。
こんないい映画がまだまだたくさん埋もれているだろうなと改めて思った。

(※この作品が埋もれていたと思っているのは私だけなのかもしれない。ただ、U-NEXTで観れない「作品賞」の数少ない作品の一つだ。つまりレンタルが必要)

第28回アカデミー賞作品賞(1955年)
監督:デル・バートマン
2023.02.05視聴54
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