ペジオ

マーティのペジオのレビュー・感想・評価

マーティ(1955年製作の映画)
4.6
僕はやりたい事をする 何故かって? 恋をしたからさ

「モテない男」はいつの時代も変わらないのだなと実感できる「自分話が止まらない」シーンのおかげで、2つの意味でマーティの事が良く分かった(個人情報が大分手に入った。誕生日が11月8日って事も知ってるぞオイ。)

ああ…良く分かったよ…
「優しい男」なんだマーティって奴は…
他人の気持ちが分かるが故に、「自分の気持ち」を後回しにしてしまう
「自分本位」で無礼な態度をとる様な輩相手でも、グッと我慢してしまう
そんな自分を「醜い」と蔑んでしまう

「そんな男」の前に、自分の胸で泣いてくれる様な女性が現れた
…嬉しかったんだよ
…俺にも価値があるんだって思えたんだよ
ダムが決壊したかの如く「自分の話」をしてしまうのはしょうがないよ…


地味に長回しが多用された撮影は役者の芝居を撮り逃さないようにした結果
とにもかくにもタイトルロールを演じたアーネスト・ボーグナインに尽きるのだが、「デッカイ赤ん坊」の様な見た目そのままに感情豊かで、なんかもう「マーティくん」って呼びたいくらい可愛い(向こうの方が完全に年上なんだけれども)
他作品で粗野な役ばかり演じていた男とは思えない繊細な演技が強烈な顔面とハーモニーを奏でていて、なんかもうずっと見てられる(キスシーンの情感よ。)

恐らくはさほど民度の高くないであろう下町みたいな地域(道にいっぱいゴミ落ちてた)において、存在自体が奇跡みたいな「良い子」二人の恋愛を見せられて、素直に「お前ら…上手くいくといいな」と思えた
そんな僕の思いに応えてくれたかのようなエンディング曲が「優しくて」好き
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