Joker

1984のJokerのネタバレレビュー・内容・結末

1984(1984年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

まず小説の方を読んでから、気になったので映画を観た。
小説を読んでいる時から思ったのは、この小説は映画化に向いていないこと。会話よりも、状況の説明と視覚描写、主人公の感情の記述が多く、映画化するには情報量が多くナレーションを入れるしか物語全体を伝えることができないと思った。

そう言った前提で、この映画がどのように、またどのくらい小説の内容を描けているか気になって観たのだが、予想以上に小説の内容が描けてなかったと思う。

もちろん全てを描くことはできないし、大事なところや要点を絞って描く必要があるが、違法行為やいつもと違う行動ができない緊迫した社会であることや、スミスが強く感じている世の中に対する疑問、オブライアンに対して抱く希望、プロールたちが社会を変える鍵であるとの期待、ジュリアとの出会いによって感じた生きる喜び等、小説で重要だった内容がほとんど深く描かれておらず、単に映画を観てるだけでは小説で伝えたいことの30%しか分からないと思った。

おそらく映画を先に観た人では、登場人物の感情や写る様々なシーンの理解が難しかったと思う。

上映時間が113分なので、あと1時間伸ばしてもいいので映画の核心となる箇所を丁寧に描いてほしかった。

似たような映画でこの小説を元にした未来世紀ブラジルの方が小説の要点を伝えれていたと思う。

ビジュアルの面では、小説の舞台や登場人物、小物等は記述に忠実に再現されていて、読んで浮かんだ風景がそのまま描かれているようで楽しかった。

小説の舞台となる同じ場所で同じ時期に撮影したという拘りも良かったと思う。

視覚的再現は良かっただけに小説の内容がほとんど伝えてきれてなかったのは残念だった。
ハリウッドは映画のネタが切れているなら、ヒット作の無理な続編を作らずにこう言う作品のリメイクにどんどん挑んでほしい。

映画を観たけど、小説をまだ読んでない人は必ず読んでほしい。内容の濃さが桁違いで、映画にたどり着いたのに小説を読まないのは本当に損をしていると思う。
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