全国おにぎり協会

浮草の全国おにぎり協会のネタバレレビュー・内容・結末

浮草(1959年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1934年製作の『浮草物語』は未鑑賞。こちらも観なければ。

赤と緑の対比がやはり綺麗。赤は外、緑は内。
親方と姐さんの喧嘩シーンで雨が降り始めたり、異なる軒先にいる2人の間を雨が隔ている構図とかも、とっても好きだ。
親方は、根付きたくても根付くことができなくて、根付いて良い理由を今度こそは持ち帰ってやろうと漂い続ける男。
親方自身の行いによる因果応報な面も大分あるはずなのだけれど、どこか愛嬌があって、何もかも失ってしまう姿がかわいそうで寂しそうで、これはモテるわあと思った。

ラストの煙草に火を点けるシーンのなんと色っぽいことよ。
薄明るい夏の夜の中を遠くの方へと走り去っていく列車も象徴的で好きだ。
1959年は高度経済成長期で、金の卵とかの時代で、次男以降が地元を離れて遠くへと旅立っていった時代でもある。当時観ていた人は自分と重ねたりもしたのかなと思った。

変わりゆく時代と、消えていく古くなってしまったものを、愛おしそうに丁寧に描くなあ。