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リーサル・ウェポン4の教授のレビュー・感想・評価

リーサル・ウェポン4(1998年製作の映画)
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回を増すごとに好きになっていくシリーズ。あと去年もそうだったのだが、夏の暑さが酷くなってくる度にこういったアメリカ映画ばかり観るようになってしまう様子。

本作は前作に比べて内容的には後退した感がある。
ジェット・リーを悪役に据え、その存在感を強烈に示す一方で「蛇頭」などを扱ったアジア人の描写には無知と無関心が透けて見える。
彼の中国への批評も、批評と言えるほど精度が高いわけではなく、これまでの絶妙なポリティカル性のバランスは著しく欠けている。

ただ、より過剰さを増しているのは「悪ふざけ」が過ぎるジョークやコミカルさであり、シリーズ屈指のはっちゃけぶり。
悪ノリが過ぎて評価を下げてしまっているとも言えるが個人的にはまったく嫌いになれない。

リッグズ(メル・ギブソン)のマータフ(ダニー・グローバー)へのイジり。あるいはマータフと揃ってのレオ(ジョー・ペシ)へのイジりは、むしろ「やり過ぎ」で楽しい。
特に今回は敵役のひとりであるベニー・チャン(キム・チャン)との「笑気ガス」を使ったコメディシーンはリアリティバランスを欠き過ぎたコント的シーンになっている。

ただ本作が嫌いになれないのは妊婦になっても「イイ女」っぷりを加速させるローナ(レネ・ルッソ)のカッコ良さ。
はたまた新キャラのバターズ(クリス・ロック)の一見バカキャラに見せかけて、しっかり仕事のできるスマートな設定。
シリーズを追うごとに、新キャラが投入されるが、奇跡的に常にシリーズに新しい魅力が追加されていく。

エンドロールは、その仕上がった「ファミリー感」が極まった形で表現されるが、ついに「5作目」には至らず、リチャード・ドナーがこの世を去ってしまい、寂しい幕切れを感じたりした。
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