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ヴェネツィア時代の彼女の名前のsonozyのレビュー・感想・評価

3.5
『インディア・ソング』のサウンドトラックをまるごと使い、カルカッタのフランス大使館として登場した館の朽ち果てた姿や、周囲の風景を捉えた映像と重ねた実験的な作品。
なので『インディア・ソング』を見た後でないと、意味不明なものです。

ドキュメンタリー風な粗めの映像そのものには魅力はないですが、実際は館の中はこんなに荒れ果てていたのかと驚きつつ(『インディア・ソング』での室内の撮影は別の邸宅で行われたそう)、語りやピアノのメロディ..音に集中できるので『インディア・ソング』のシーンの一部や、記憶が脳内再生されつつ、話している内容や、情景がより鮮明に感じられる..という発見もあったりの不思議な視聴体験。

特にラオスの物乞い女の、ラオスの言葉による歌、語り、笑い声と、「インディア・ソング」のピアノのメロディが、やけに沁みました。

※このタイトルは、『インディア・ソング』で一番インパクトのある音である、アンヌを愛するラホールの副領事が、館を出た後もずっとアンヌのヴェネツィア時代の旧姓を叫び続けていた件ですが、本作が特にここにフォーカスを当てているわけではありません。
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