丹叉

未来世紀ブラジルの丹叉のレビュー・感想・評価

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)
4.6
なんだこの癖になる違和感......

難解と呼ばれる映画には大きくノーラン的な論理性のある難しさとリンチ的な我々に解釈を委ねる答えの無い難しさがあるが、ブラジルはどちらにも属さない特徴的な難しさがある。いや、逆に見方を変えれば単純で簡単なのかもしれない。分からない。とにかく私は混乱してた。そしてこの混乱がとても好きだった。展開が絶対に読めない。次に何が起こるか分からない。特に終盤30分くらいは怒涛の意味不明展開ラッシュ。あの時の感覚は、完全に夢を見ている時と同じものだった。欲しいものしたいことが達成されそうになる直前に、手が届きそうになった途端に遠のいてしまう。自分がよく見る夢にそっくり。近未来的な街並み、家、コンピュータらしきもの、道具、登場人物(特にデニーロ)、全てなんかヘンテコでチープで違和感がある。その違和感が夢見てる様な感覚を齎す一つの要素なんだろうな。たまに出てくるコメディチックな意味不明なやり取りも、これまた現実感が無いというか。まさにテリーギリアムの独創性溢れる世界観。彼にしか作れない芸術的な映像。

再鑑賞してみると初見に比べて面白さが半減した。展開や概念が意味不明なのが面白い要素のひとつであるから、それらをある程度把握した状態で見ると当然だが初見の衝撃的な面白さは味わえなかった。ちょっと退屈だった。初見で見れる人が羨ましい。
丹叉

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