MissyEllio

女はみんな生きているのMissyEllioのレビュー・感想・評価

女はみんな生きている(2001年製作の映画)
4.0
どうです?この偏見と観る者の幅を狭める邦題。
( ̄へ  ̄ 凸 F××k You!!

原題はCHAOS(カオス/無秩序、混沌)。うん、邦題が酷い分しっくりきますね。カオスは原初の神(ギリシャ神話)やガイアが誕生する余地をもたらす空隙とも(創世記)。

本作での定義は、男社会(宗教的なニュアンスも含む)という括弧付きの秩序を混乱の渦に陥れることで、混沌・無秩序を生み出す逆説的な意味ですね。

コリーヌ・セローと言えば『赤ちゃんに乾杯!』(リメイク知ってるでしょう、『スリーメン&ベイビー』)。軽妙な語り口でコメディ要素たっぷりに、社会の問題点をサクッと指摘する監督。今にして思えば、『赤ちゃん〜』も列記とした、ジェンダーを意識した作品でした。

本作はちょっと過剰に見えるほど男はクズばっか。夫婦間では夫と子供が、娼婦は搾取する社会(男)が、老婆(母)は息子が、それぞれを蔑ろに扱う。

全てにおいて男が悪い、女は蔑まれている。女の権利を回復せよ!って話なら、一部の人だけ見ればいいのかもしれないですが、ジェンダーを超え、強く逞しく争う彼女らを描くコリーヌ・セローは、さらにもう一歩先の社会を見つめているんだと思うんですよね。そんな思いを、ラストのエレーヌ(カトリーヌ・フロ)が、静かにモノ語っているのだと僕は理解しています。

あっ、時に重くなりますが、基本的にはコメディですし、サスペンス要素もあったりして、見終わった時は痛快な気分も味わえるさすがっ!の一作ですよ。
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