HidekiIshimoto

香華 前後篇のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

香華 前後篇(1964年製作の映画)
4.0
3時間超えで観せる木下映画後期の大作。地味だけど日本風俗文化の緻密な結晶のような作品だった。これどこまでがセットなのか?田中絹代、音羽信子、岡田茉莉子、プロ中のプロ女優による愛憎母娘劇。えげつない性悪女を演じ切る音羽さんのプロ根性に惚れ直し。傲慢花魁からいけずババアまで性悪全部盛り。なのになんか筋が通った感じでぜんぜん憎めない不思議な魅力に何回も笑わされた。明治から昭和までずんずん駆け抜けて、花柳界も震災も駆け抜けての七変化演技。こういうプロをこそ女優と呼びたい。さすがの岡田茉莉子も音羽さんにゃ敵わんなと思ってたら、後半まさにプロのアクトで圧倒。二人の長回しやりとり凄い。男達は全員添え物感。世界は女(とオカマの木下恵介)で回ってる。