りり

ミツバチのささやきのりりのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.8
目は語るものだけど、あれほどまでに見つめ吸収し訴えかける目を探し当てられたのは奇跡ではないか。

子どもは大人が思うよりずっと自分を取り巻く空気の中にあるものを感じている。ひとときそれを忘れて笑ったり何かに夢中になったりもするが置かれている現実の重みは知っている。それなのに心に重いそうした事どもについて言葉にしたり誰かと分かち合う方法を持たない。だから大人よりずっと孤独だ。

繊細な子どもは尚更で、安心できる世界を自分の中に作らなければ生きていけない。誰かに親切にして笑ってもらいたい、小さな自分が変えられることもあるという実感を得たい。

美しい映像が見せる光と影、そこにいる大人と子どもの中にある光と影、両方を見た。この映画をずっと心に携えて生きていきたい。小さな声で語られたことを決して忘れないようによく注意しながら。
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