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ミツバチのささやきのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.3
スペインのビクトル・エリセ監督の長篇デビュー作。
撮影はルイス・カドラード。
音楽はルイス・デ・パブロ。
原題:(西)El espíritu de la colmena(意味:「蜂の巣の精霊」)、(英) The Spirit of the Beehive (1973)

1940年頃、スペイン中部のカスティーリャ高原の小さな村オジュエロスに、巡回映画がやってくる。
「フランケンシュタイン」(31年製作、怪物役はボリス・カーロフ)を見た6歳の少女アナは、姉のイサベルに「なぜ、怪物は女の子を殺したの?」と尋ねる。
すると、姉は「映画の中のことは全部ウソ。彼は怪物じゃなくて精霊なの。村外れに住んでいて、お友だちになればいつでも話ができる。目を閉じて、"Soy Ana"ソイ・アナ(私はアナ)と呼びかけるの」と言われる。
少女は、精霊が出ると言われた村ハズレ外れの廃屋で、隠れていた逃亡兵と出会う…。

"毒キノコ"
"井戸"
"りんご"
"オーバー"と"懐中時計(オルゴール時計)"
"夜の森、池のほとり"

~登場人物~
・アナ (アナ・トレント)
・姉、イサベル(イサベル・テリェリア)
・父、フェルナンド ( フェルナンド・フェルナン・ゴメス)養蜂家。本来自然の中で育つ蜜蜂を部屋の中でも飼って観察している。
・母、テレサ( テレサ・ヒンペラ):心を残している誰かに手紙を書いて投函している。
・使用人、ミラグロス (ケティ・デ・ラ・カマラ)
・治安警察官( エスタニス・ゴンサレス)
・怪物(ホセ・ビリャサンテ)
・逃亡者 (フアン・マルガロ) 
・教師、ドナ・ルシア(ラリー・ソルデビラ)
・医者 ( ミゲル・ピカソ) 

スペイン内戦後のフランコ独裁時代を背景に、静かな抵抗の精神を込めた詩情豊かな名作。
汽車の音や蜂の羽音などの自然の音と美しい映像。
そして、現実と虚構の区別がまだ出来ない少女。じっと見つめる大きな瞳が印象的な6歳のアナ・トレントがこの作品に奇跡的な輝きを与えている。

~(参考)歴史的背景~
1936年スペイン内線が勃発。
3年に及ぶ内戦は、ナチス・ドイツとイタリアの支援を受けたフランシスコ・フランコ将軍が率いる反乱軍が、ソビエト連邦の支援を受けた共和国政府を打倒して終結。
1939.4.1~1975.11.22(スペイン内戦終結~フランシスコ・フランコの死去)の36年間はフランコ独裁時代(ファシズム時代)。
フランコ総統の死後、フアン・カルロス国王が即位(王政復古)し、1978年憲法制定により民主化が進む。
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