Omizu

善き人のためのソナタのOmizuのレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
3.7
【第79回アカデミー賞 外国語映画賞受賞】
ドイツ版『シンドラーのリスト』とでも言おうか、素直にいい映画を観たなと思えた。

長ったらしい名前の監督はどうやら貴族の血を引く家柄で、長編一作目となる本作で多数の賞を受賞した。次に撮った『ツーリスト』が大酷評で、キャリアが止まるかと思いきや『ある画家の数奇な運命』で再び外国語映画賞候補にあがり復活という数奇なキャリア。

長編一作目とは思えない力量。基本無表情な主人公ながら、さりげない演出で心の機微や寂しさ、反抗心などを表現するのがとても上手い。

終わり方には唸らされた。「これは私の本だ」というセリフが上手い!ただあそこで一時停止させて終わるのは垢抜けないというかあざとさを感じてしまった。そこは素直にフェードアウトか遠ざかっていく主人公を長回しで撮って終わりでいいんじゃない?とは思った。
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