善き人のためのソナタの作品情報・感想・評価

「善き人のためのソナタ」に投稿された感想・評価

なぜ人は小説や音楽や絵画や映画を欲するのか。表現せずにはいられない人と、善き人になりたかった人。私も善き人に近づきたい。震えるくらい感動した。
まいこ

まいこの感想・評価

4.5
主人公は無表情ですが、盗聴後の行動がモロにドライマン達に影響を受けていたり、最初から意外と人間味があります。
最後のセリフがすごく好きです。
状況は違えど、これも一種のストックホルムシンドロームなのかも。
厳格に過ごしてきたヴィースラーがドライマンとクリスタの生活に触れ、愛や情に惹かれて、自分の中の善き人を探し出そうとしてるのが分かる。尋問シーンでのヴィースラーの表情が絶妙で、ああこの人は誰よりもピュアな人だなって思った。

終盤の止まった時間が刻々と進み出すような流れが好き。最高に救いのあるラストだった。
東ドイツの寒々とした空気感と多くを語らない登場人物たちの中に熱い想いがいっぱい詰まった映画。
けいこ

けいこの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

淡々として重い、そのうえヨーロッパ映画。自分的には三重苦。なのに引き込まれた。真相は、恋人は裏切り者。ヴィースラーが協力者だった。孤独な彼が最後は報われたようなスッキリとした終わり方だった。
ryopeee

ryopeeeの感想・評価

3.4
芸術家と東ドイツ国家の闘いかと思ったら、まさかの盗聴するシュタージ職員が心変りする映画。
主人公が直接的に感情を出さないから、何考えてるか分かりづらい、、
それにしても盗聴があんなにも似合う人はいない笑
東と西で対立していたベルリンの壁崩壊までのドイツの話。くらーくて おもーい雰囲気漂っております、劇作家と舞台女優 愛しているのに信用できないなんとも切ない。
それにしても24時間ずーっと盗聴されるとは、もうトリハダ!タイトルからしてピアノのお話かと思っておりましたが、あるベテラン調査員が反体制派か疑わしい人を盗聴してやろうってお話です。

善き人のためのソナタ、戦場のピアニストの時にも感じましたが、美しい音楽は政治なんかに縛られないのですね。
孤独に寄り添う作品

ベルリンの壁崩壊直前のドイツの社会を描いた作品。反体制の疑いのある作家であるドライマンを盗聴するヴィースラー。しかしヴィースラーは次第に聞こえてくる彼らに共感を寄せるようになる。

徹底的にヴィースラーの孤独とドライマンの充実っぷりが対比されていて、見ていて辛い。特にヴィースラーがデリヘル呼んだ後の虚無感は凄かった。また、ヴィースラーがクリスタを尋問するシーンで、彼女がヴィースラーのことを覚えていない。あまりにもこれは辛いだろう。

ここまで追い詰められ凶行に走るのかと思いきや、ヴィースラーの行いはあくまで''善き"行い。ラストはとても気持ちの良い終わり方であった。他人にオススメしたい特別な映画の一つになった。
ぼぶ

ぼぶの感想・評価

3.9
1984年
東ドイツでは、国家保安省「シュタージ」によって、独裁政権が維持されていた。
主人公のヴィースラーもそのうちの一人。
彼の心に慈悲などない。
淡々と、社会の敵を見つけ、潰す。
その為に人生を捧げてきた。

そんな中、劇作家のドライマンが書いた演劇を見ることになる。
ドライマンが怪しいと思った彼は、次の標的として、彼を上げ、諜報活動を開始する。

しかしそんなヴィースラーも、結局は人の子。
ドライマンの私生活を覗き見る中で、少しずつ変化が起こっていく。
社会主義の犬が、少しずつ人に戻っていく。
小さな変化が、大きな結末を生む。

「いや、私のための本だ」
ラストを、その感動を、是非体験して欲しい。
Zuidou

Zuidouの感想・評価

4.7
一人の男が芸術に目を開かされる話だった。ただただ重たい戦争映画みたいなものを想像してたけど、ドイツの国民性なのか何なのか、一番的確な言葉は「おかしみ」だと思われる不思議な笑いがちょいちょい差し挟まれるのが楽しい。あるいは「萌え」とすら言ってもいい、カウリスマキ作品に出て来る人達みたいな、人間のかわいい部分を度々見せてもらえて嬉しくなる。しかし映画内で観る演劇って何ともいえず神秘的だ。
くぅー

くぅーの感想・評価

4.0
邦題では、いかにも例のソナタがポイントかの様になってるが、むしろ原題の"他者の生活"が肝であり・・・愛のある自由な芸術家達の生活に触れ、いつの間にか個人の心は揺さぶられて行く。
そう、国家に忠実なロボットの如くあり続けて来たが、本来持つ彼の善さは抑えきれなかったのだ。

そして、訪れるべく終盤の悲劇は静かに見守るしかなく・・・壁崩壊後のラストに、邦題が別の形で静かに訴えて来る巧さ、涙腺が緩みましたね。

ハリウッド作品とは一線を画した、ドイツの歴史作品に多く見られる抑制の効いた演出が今回も見事で・・・新人監督ながらも撤退したリサーチによるリアルさ、グッジョブでした。

キャストでは、終始クールに存在感を魅せるウルリッヒ・ミューエに尽きますが・・・まさかの急逝には言葉を失い、改めて合掌。
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