善き人のためのソナタの作品情報・感想・評価

「善き人のためのソナタ」に投稿された感想・評価

ことね

ことねの感想・評価

4.0
少し長く感じるが、丁寧に描かれた作品

少しずつ少しずつ感情を取り戻す(知る)姿がとても素敵であり、残酷でもあり、切なくもあり...

ストーリーも音楽もメッセージも詰まった良い作品
やられました。
凄く話に引き込まれてあっという間に終わってしまいました。
同じ国でも東と西に分かれていたドイツ。多くの人が罰せられ、表現に規制がかかり監視されて生きていたのだろう。
そう考えると今の時代は凄く自由だと思うが、昨今のセクハラやパワハラ問題などがあるようにまだ全てが自由になったわけではない。とりあえず凄く良い映画でした。
まこと

まことの感想・評価

3.9
原題は「他人の生活」で、こっちの方がしっくりくる

国家的任務といってもそれを遂行するのは機械やマシンではなく人間で、そこに私情や好奇はどうしたって挟み込まれる

挟み込んではいけないと思えば思うほど挟み込まれる、そういった矛盾めいた現象が起こるのもその主体が人間であるから

東ドイツというどこか退廃性が漂い香る舞台も、この物語と密接にリンクしている


フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクという監督名は、職場のホワイトボードに書いたのを毎日見るようにして無理矢理頭の中に叩き込んだ笑
どうでもいい、と思ってしまう自分を殺しながら感動した
自分もうだめでしょ
ぐり

ぐりの感想・評価

4.3
この映画を見て監督が同じだからと
『ツーリスト』を観た人は
大いにがっかりすることでしょ...

クライマックスに当たるような
箇所はなかったし、
映像として綺麗なわけでもないけど
映画を観た後自分の日常が
幸せだと思える映画

盗聴役の役者さんの
微妙な表情が何とも言えず
素晴らしかったです☆
manuca

manucaの感想・評価

3.5
その昔壁崩壊前に西ベルリンから東ベルリンに日帰りで入国しました。チェックポイントの白い個室。個室にある子窓の向こうから睨まれながらのパスポートチェック。ほんの少しの体験でしたがあの時の緊張感を思い出し物語に引き込まれました。ラストのシーンにはグッときました。
東ドイツを舞台にした人間ドラマ。
そこで行われていた統制の実態…
というよりも、そこで生きた人々の物語。
過剰なまでの統制の中で
彼らは何を信じ、何のために生きたのか。
そんな話です。
善人にも悪人にもなりきれない
キャラクターたちが良いです。
非常にシンパシーを感じます。
ストーリーはシンプルで観やすいです。
ラストが秀逸!
HiroEire

HiroEireの感想・評価

2.5
社会主義が間違いだとして、果たして資本主義が正しいか。現実と向き合うと、どちらが正解か答えは未だにわからない。正義なんて時代で変わる。

狂った社会主義に反し、人権を尊重した素晴らしい男の物語なのだろうけど、利己主義な僕には、彼の行動が理解出来ないよ。

スノーデンを観た時にも思ったが、監視社会を悪だと定義する事自体に違和感があるのかもしれない。
”溶け出す心と崩れる壁”

「江頭2:50のピーピーピーするぞ!」のエイガ一刀両断のコーナーで江頭2:50が絶賛していた映画だったので、いつか見たいと思っていた。仕事帰りのBOOK OFFで発見し、即決購入。DVDジャケットからは物暗い陰鬱な映画のようなイメージだったが、予想以上にエモく、さらに切なく、感情的な映画であった。社会主義者の信念がエモーションに揺らぎ、芸術や音楽の前にその信念が溶け出していく様と、氷塊から善人の行いが、リスクと隣り合わせに浮かび上がり、そしてラストカットと最後のセリフは文句なしの圧巻だった。

主人公のヴィースラーは東ドイツのシュタージの敏腕尋問官であり、冒頭から悲壮感漂う男の尋問映像を教材に熱弁を振るう。このときの尋問の手法やスキルの高さを見せつけると同時に、執念深い社会主義の守護者であることが提示される。そんな折、劇作家のドライマンと彼女のクリスタを監視する任務が与えられ、彼らの住むアパートの屋根裏から部屋を盗聴することになるのだが、ここの奇妙な隣人関係ないしは同居関係となることで、西側の芸術や自由さに心を惑わされることとなり、それが盗聴という非日常性に味付けされ、そのスリルとともに鑑賞する側の心も掴んでいく。激しいセックスのシーンをも盗聴されることとなるが、単純に「ミイラ取りがミイラになる」構図のように、情報統制をし国民の知る権利を制限した、東側陣営の信念が、プライバシーの盗聴によるスリリングな知る興味に融解させられる構図が滑稽であり、また切なく映る。ここで単純に秘密裡な計画のスリルとサスペンス性は盗聴する側のバレるかバレないかに発展していき、二重に張り巡らされたサスペンスの糸を、鑑賞者特権として知ることとなり、クライマックスへ祈りながら付き合うこととなる。自由を欲した者と自由に心を溶かされた者が、己の新たなる正義のために一線を超える結末はスリリングでありながら物悲しい。そしてささやかなこの物語を救済を込めたラストシーンに思わずため息をついてしまった。
ジョージオーウェルの「1984」を彷彿とさせる東ドイツの監視社会。シュタージの人間でさえ琴線に触れる、アートが果たす役割について考えさせられる。劇と演じること、表現活動は社会を強く反映する。
>|