ユーリカ

日の名残りのユーリカのレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
4.1
森薫の漫画「エマ」、BBCドラマ「ダウントン・アビー」のファンとしては、観ないという選択肢はない作品。

もちろん映像自体も大変素晴らしかったのだが、少し調べて判明したことには、言わずと知れたカズオ・イシグロの原作小説(同名)が、想像するよりも遙かにトリッキーでブラックジョークに満ちた作品だというのだ。

備忘録も兼ねて、読み物をいくつか紹介したい。

「映画『日の名残り』 は何でカズオ・イシグロの原作といろいろ違うの?」問題にノーベル賞級の大胆さで迫る!|おかえもん|note(ノート) https://note.mu/okamasayuki/n/n42857ea201b2

※ラストシーンについて
https://note.mu/okamasayuki/n/nf644b079bee7

全部が正しいとは思わないが(同性愛説はさすがに違うのでは…と思うが自信はない)、指摘されないと気づかないことばかりで映画を最初から観直したくなったし、購入したまま棚に積んでいた原作小説を引っ張り出すこともすぐ決意した。


『日の名残り』における語りの技法 ―カズオ・イシグロ小論( 1 )
http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/item/md/-/p/10682/

『日の名残り』における語りの技法 ―カズオ・イシグロ小論( 2 )
http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/item/md/blg/p/11695/

※「本文を見る」からどうぞ

こちらは中央大学の教員による論文で、原作におけるスティーブンスの「語り」について分析されており、これだけ読んでも非常に面白い。いわゆる「信頼できない語り手」というもので、これだけ違った見え方ができるものかと驚かされる(私は素直に読んでしまうタイプなので尚更)。
原作を三分割されており未完のため、先生に執筆を急かしたくなる衝動に駆られる。

話が逸れてしまったが、原作のある映画の面白さはかくありき、という作品だった。
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