日の名残りの作品情報・感想・評価・動画配信

「日の名残り」に投稿された感想・評価

完成された映画。
ストーリー、演技、映像どれも素晴らしい。
原作者、役者、監督の力が、結集されており、ただただ、すごいなーと感じさせる。
観終わって、邦題
日の名残りに妙に納得。

ナチスに加担した凄く立派なお屋敷の執事のプライドと責任感をアンソニー・ホプキンスが演じる、さすがです。
そしてハウスキーピング役のエマ・トンプソンは凛々しくて切なくて綺麗。
この二人の恋の話。

静かな中にきちんと物語が詰まっていて当時の不穏な情勢も描かれている。
愛する事をしらない揺るぎない信念の男と幸せになりたいが試す事でしか想いを表現しなかった女。
気持ちを隠しながらふたりで働いていた日々こそが輝いていた。ってふたりとも認めている。だからこその日の名残りか〜。
渋いラストでした。
どらみ

どらみの感想・評価

4.2
今時録画失敗したりして笑
結構日数かけて観た作品
カズオ・イシグロのベストセラーを
”眺めのいい部屋”のジェームズ・アイボリーが映画化

城住まいの名門貴族に永年使えてきた老執事の回想を
静謐にしっとりと重厚に描く

原作はナチスドイツ等に対する政治的暗喩が
もっとたっぷりなのでしょう(未読です)

アンソニー・ホプキンスが欲望丸出しのレクターとは違い
執務に熱心なあまり恋愛等が後回しになってしまう真面目で勤勉な執事にこれもぴったりと嵌り
彼と淡い恋心を抱き合う政治等にもはっきりと発言する勝気なメイド頭のエマ・トンプソン
両人、品があるのもいい

人生に於けるほのかな後悔と裏腹なブレずに生きる充実感と
好ましい作品でした
城や庭園の美術、衣装も素晴らしい
イギリス貴族文化にハマっているので鑑賞。
執事に全うしたアンソニー・ホプキンスと、優秀な女中頭のエマ・トンプソン。第一次大戦から第二次大戦への移り変わりと共に描く2人の微妙な感情の物語。
昔の主の甥っ子に若き日のヒュー・グラント、アメリカの議員にクリストファー・リーヴ、足が痛いしか言わないフランスの大物に『007/ムーンレイカー』の悪役サー・ヒューゴ・ドラックスことマイケル・ロンズデール。
イギリス貴族のお屋敷のしきたりも垣間見られるし、アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの名優が繰り広げる不器用と趣を堪能。
クリストファーリーヴ、設定上50代位の役なんだけど、もし何も起きずに年を重ねていたらこういう渋さだったのかなと。こういうところも切なく感じた。

あとこの年のアカデミー賞は『シンドラーのリスト』という強敵がいた。それだと取れないね。
信頼できない語り手(Unreliable narrator)というのは、主にミステリー分野に用いられる叙述トリックとして広く知られているものですが、たとえば1人称の語り手によって展開される筋立てをミスリードすることで、謎がブラインドされる手法のことを一般的には指しています。

しかしこの手法はそうしたミステリー分野に限らず、本作の原作者であるノーベル賞作家のカズオ・イシグロ(英)や同じくノーベル賞作家のパトリック・モディアノ(仏)といった作家たちも愛用しており、カズオ・イシグロが「文芸的なテクニックだとは思っていない」と語っているように、ミステリーの仕立てというだけでなく僕たちの生の実感に深く訴える側面をもっています。

この『日の名残り』はそうした「信頼できない語り手」がもつ普遍的な側面を自身の作風として確立したカズオ・イシグロを原作としており、イギリス文学を上質に描くジェームズ・アイヴォリーが監督を務めることでたいへん素晴らしい映画作品になっているように思います。

原題は『The Remains of the Day』で、大英帝国の落日をある貴族に仕えた老執事スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)の視点で描いています。この老執事の視点というのが1つのポイントになっており、後世の歴史家が振り返るように高所大所(こうしょたいしょ)から描いたものではありません。

これは上記の「信頼できない語り手」を用いたカズオ・イシグロの作風によるものですが、本作のような史実に基づいたものであれ『わたしを離さないで』のような虚構であれ、大きなマクロ的舞台を用意したうえで個人のミクロ的視点から物語られていくことになります。したがって老執事個人の心と体を通した見通しの悪い感覚とともに、アイロニーの鋭さを秘めながら話は展開していきます。

鑑賞後の余韻が暴力性や不吉さを含みながらも、やわらかな残照のようにたなびくのはきっとそのためだろうと思います。



第二次世界大戦(1939-45年)を挟みながら、大戦前夜の1938年(過去)と戦後の58年(現在)を通して描かれるイギリスの階級社会を生きた1人の男の揺らぎ。この揺らぎは父子関係、恋愛関係、社会関係の3つの関係で揺らぐことになります。またいずれの関係においても、執事のスティーヴンスが職務に忠実であろうとしたがゆえに生じたものであることにアイロニーが潜んでいます。

父子関係は死に目にあえないというかたちで。恋愛関係はミス・ケントン(エマ・トンプソン)が屋敷を去っていくかたちで。

そして社会関係においては3重に揺らぐことになる。1つはダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)の命令に従いユダヤ人の女中を解雇するかたちで。もう1つはその忠実さゆえに戦前/戦後の価値転倒によって糾弾される側にまわるかたちで。さらには執事としての価値を保証する階級社会そのものが変移するかたちで。

それらは職務に忠実であろうとする執事のアイロニーとして描かれていますが、スティーヴンスはいかなる時も、ミクロ的な視点で執事としての誇りを守ろうとします。映画の中におけるミス・ケントンの役割は、僕たち後世から見た代弁者として存在します。彼女は上記の3つの関係で揺らぐ執事をすべての点において糾弾し、愛し、そして去っていく。けれど誰が彼を責められるだろうか?

人間はいかなる時も、マクロ的にうごめく世界のなかでミクロ的に振るまうしかない。どれほど情報社会が発達していこうとも、その情報が「現在(いま)」という視点のなかでどのように見えるか/見えないかを後世の目から見ることは不可能であり、もしも見ることができたとしても、その後世もまた時代的制約を受けているはずです。

また自由であるということは、むしろある不自由な地点に自らを位置づけ、そこで可能な限り善く生きようとする態度のことだろうと思います。そうでなければ自由であることは、その自由さゆえに簡単に人間を大海原のなかで座礁させてしまうことになる。スティーヴンスにとっての港は執事としての職務だった。

ナチ政権のもとホロコーストの実行犯として裁かれたアイヒマン(1906-1962年)もまた、スティーヴンスのような男だったように僕には思えます(そして時代状況によっては僕自身もそうだったかもしれない)。しかしまた同時に人間はその港を離れることもできる。ラストシーンで、ダーリントン卿が亡くなり新しくやってきた屋敷の主人ルイス(クリストファー・リーヴ)が、迷い込んだハトを窓の外へ逃すシーンはその象徴として描かれているように思えます。

自由であることや善く生きるということは、個人の意思の力によるものと素朴に考えているよりもずっと、それは直面するほどに原理的な難問となって立ち現れます。だからこそ物語は人間の自由と尊厳と愛の困難をユーモアとして示し、象徴としての鳩を飛ばそうとする。

戦前のイギリス貴族から、戦後のアメリカ人へと主人を変えながら(世界覇権の移動)やはり執事として生きようとするスティーヴンスには、大英帝国の斜陽が投影されています。けれどそうした歴史的背景の象徴としてよりもむしろ、カズオ・イシグロ/ジェームズ・アイヴォリーが描き出しているのは、マクロ的視座に生きることの不可能性のように僕には思えます。

だからこそ僕たちは、物語のなかの鳩を見届けようとする。このミクロな窓の外にどのように飛び立っていくのかを。たとえそれが窓の内側というミクロ的な視座からしか見えないものだったとしても。
マスン

マスンの感想・評価

3.8
す原作の石黒一雄氏、イギリスの小説家、数々の賞を受賞している。
英国の名門家に一生を捧げてきた老執事の半生を描いた人間ドラマ。
第66回アカデミー作品賞にノミネートされた作品。
さすがの名優アンソニー・ホプキンス。
執事という職務に徹し続けた半生、感情を抑えて喜怒哀楽を抑えてご主人に尽くしてきた。
エマ・トンプソンも素晴らしい。叶わぬラブストーリーが美しい。
自信がゲイであることから 、叶わぬ愛を描き続けているジェームズ・アイヴォリー。カズオ・イシグロの切ないストーリーがマッチしていて惹き込まれた。

映画化されていない他の原作も読みたくなった。
カズオ・イシグロ原作
英国紳士でプロに徹する傍らこっそり恋愛小説読んでるのかわいいな
プライドなのか何でそこまでの徹底ぶり?とも思っちゃった!パパ様の背中を追いかけたのか
Shizka

Shizkaの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

最後の、あのエマ・トンプソンの耐えて耐えて、どうにもならない表情、、キリキリと締め付けられるようで切なかった。

アンソニー・ホプキンスの執事のなりきり具合がすごい。エマ・トンプソンお相手としてはいさかか歳をとりすぎじゃないかとも思うが、ベテランの執事ならあんなくらいの歳なのだろうね。

それに対してエマはやはり若いだけあって反発したり融通が効かなかったり仕事第一ではなかったり、これもいい配役。というか下手な役者が誰もいない。

この執事の仕事にかける姿勢、騎士道にも武士道にも似た、仕事第一のサラリーマンと妻や家庭を顧みない感じに似ているな。

もっとも執事の方が主人に仕えている意識が高くて恋愛でさえも父の死でさえも脇に置いておける忠誠心、でもやっぱり揺れずには居れない自分との静かな戦いがいい。

執事はもちろん忠誠があるべきだが、ロボットではない。そこをこう表現してイギリス執事の人生、とても良かった。

長崎生まれのイギリス育ちだからこういうストーリーが書けたのだろうか、、、
A

Aの感想・評価

3.5
これはグッとくる… 鳩と対照的なところがまた胸が締め付けられる。

ヒューグラント、GOTメイスターエイモンはあまり変わっていないけど、レナへディ(サーセイ)が若い!ベンチャップリンが若い!

2022 No.102
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