rage30

ロストパラダイス・イン・トーキョーのrage30のレビュー・感想・評価

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白石和彌監督の長編デビュー作という事で鑑賞。

知的障害者の兄とブラック企業で働く弟、そして、地下アイドルを兼業する風俗嬢。
三者の奇妙な共同生活を通して、弟が抱える闇が明らかになり、更に再生へと向かっていく様子は分かり易くて良かったと思う。

ただ、弟に注目した分、他のキャラクターが記号的に描かれてしまった感は否めない。
もうちょっと兄を魅力的に描いたり、風俗嬢がアイドルをやってる理由を掘り下げて欲しかった。


白石和彌作品とは思えないくらい、爽やかな印象を残す本作。

フィルモグラフィーに敢えて共通点を見出すとすれば、「風俗嬢 兼 アイドル」という設定に象徴される様に、善悪や白黒が曖昧…もしくは反転する様な世界観は、白石監督らしさと言えるのかもしれない。

ここから『凶悪』や『日本で一番~』が生まれる事を考えると意外な気もするが、それも含めて、白石監督のファンならば見ておくべき作品だろう。
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