3回目くらいで観た。人生ベスト・ムービーの一つ。
最近は、その人柄とか、汚名的な部分が取り沙汰されて、Woody Allenの映画が好きだ、と心地よく言うこと自体難しくなって来た感がある。
ただWoody Allenの映画は、独特のコメディ(『スリーパー』とか)、ロマンチックな恋愛物(『アニー・ホール』『マンハッタン』)、ディープな人間ドラマ(『重罪と軽罪』)と、ジャンルを横断しながら様々なhuman conditionを描いてきた、素晴らしいものではある。
『Deconstructing Harry』は、どこか私小説的で、主人公のハリーはずる賢く、弱々しく、性欲過剰で、誰にも愛されないろくでなしとして描かれる。捻りのあるブラック・ジョーク、仕掛けに塗れながら物語はどんどん袋小路に入っていくのだけれど、最終的に、驚くほど温かいラストが用意されている。それがある意味どこまでもごまかしに過ぎない、ということを知りながら、自分の作り上げた世界の中になんとか安らぎや救いを見出すということ。ピンぼけのロビン・ウィリアムズの姿に涙が止まらなくなってしまう。