尖って突っ張っている自分が、どこで角を取って丸みを帯びていくか。それは社会や世間に媚びて従属することなのか。その狭間で行き交う高校生の戸惑い。ヤンキーじゃなくたって、思い当たる節がある。
ふとした瞬間からマジメに生きようとする姿勢を取った主人公。だが、その瞬間から幼馴染みと亀裂が生じる。転向してきて一番最初に声をかけてくれた彼との友情こそが、最も大切なものではなかったのか。それに気づいて全力疾走したって、もう元には戻らない。
『キッズ・リターン』は「まだ始まっちゃいない青春」を描いた大傑作。本作は「もう取り返しのつかない青春」を描いた大傑作。義務教育が続き、不自由な毎日を強いられる高校時代。やっぱりこの年代を描いた映画が、自分は好きだ。