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海外特派員のSのレビュー・感想・評価

海外特派員(1940年製作の映画)
3.8
ヒッチコックのハリウッド進出第2作。
第二次世界大戦前夜のヨーロッパを舞台に、ドイツのスパイ組織の陰謀を暴く青年新聞記者の活躍を描く傑作サスペンス。


39年初頭、戦争勃発の危機に揺らぐヨーロッパの取材に、一人の米国人記者ジョーンズが派遣された。ロンドンに着いた彼は、戦争防止同盟の要、オランダの元老ヴァン・メアに会うが、メア老はアムステルダムの平和会議会場前で射殺されてしまう。しかし、犯人を追跡するうち迷い込んだ風車小屋で、彼はナチの手で誘拐されたメア老を発見、死んだのは替玉と知る。そして、警察へ知らせて戻ってくると、そこは既にもぬけの殻だった...。

雨の中のアムステルダムの議事堂前の暗殺シーン。タイミングも絶妙ながら、暗殺者の逃亡と傘の演出。風車をモチーフにした(逆周りの)謎。
この二つのシーンは既視感があるため、本作を一度は観ているのかも知れない。

上空を飛行中の旅客機にカメラがじわりと近づき、窓越しに内部の様子を覗いたかと思うと、ふっと窓をすり抜けてワンカット(であるかのように)で客室へと入り込んでいく。スタイリッシュな映画で、今なお用いられそうな非常に画期的な手法。その後、クライマックスの飛行機墜落シーンでは、背景に巨大な水槽を使った撮影が行われたそうで、凄まじい迫力である。
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