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狼たちの午後のPのネタバレレビュー・内容・結末

狼たちの午後(1975年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。分類的にはアメリカン・ニュー・シネマなんだろうか?労働者層の男3人組が銀行強盗を試みるが、あっさりと警察に包囲され、籠城を余儀なくされる。その後すったもんだあって、最終的に事件は無事解決する。その顛末を描いた作品。

ストックホルム症候群(と呼べるほど絆が深まっているわけではないが)、ベトナム戦争や警察権力に対する反発、ゲイへの差別、市警とFBIの確執(この映画に出てくる市警とFBIは実力差がありすぎるので確執というのは不釣り合いだが)、俗物的なメディアや野次馬達、と色々な要素が盛り込まれている。

冒頭、低所得者層と高所得者層の暮らしを交互に映すシーンがあって、この銀行強盗はその低所得者層の人達がやむにやまれず起こしたんですよ、ということが印象付けられる。

主人公側の人間は、思慮の浅い人物が多い。一緒に強盗に入った3人の内の1人は、強盗し始めた途端に逃げ出す。もう1人のサル(あまり賢くないこの人物の名前が「サル」なのは、たまたまなのか狙ったものなのか...)は、学がなく、かと思えば些末な事にやたらと拘ったりする。妻や母親は自分のことを喋るばかりで、主人公の質問に対処出来ない(というかそもそも聞いていない)。観衆も、やたらと主人公を称えたり、逆に貶めたり、煽ったり、関係あるんだかないんだかよくわかんないデモ始めたりする。なんだかもう...な奴ばっかりである。

主人公の男は、人質が「トイレに行きたい」と言えばトイレに行かせる手段を考えるなど、(強盗にしては)一見親切風にも見える。しかし、銀行強盗を起こす一番のきっかけであったゲイの恋人からは見放され、人質の支店長からは「親切ぶるな」と罵られ、最後逮捕された時も、結局人質の誰からも憐みの視線を送られることはなかった。独善的なのだと思う。途中、「俺の仕事は(人質)全員を無事に返すことだ。お前にできるってのか?」みたいなことを支店長に言い放つシーンがあるんだけれども、いやいやそもそもアンタが強盗しなきゃいいんでしょーがである。

※2018/09/10
今気づいたが、この映画の監督「12人の怒れる男」の人だった。なんとなく好みだったの納得。
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