初回作『ポワント・クールト』以来、ヴァルダは劇映画でもドキュメンタリーのようにカメラの前にある現実を捉えることに注力してきた。本作はジェーン・バーキンのインタビューを主軸に、バーキンを活人画に登場させたり、寸劇を演じさせたりする。ヴァルダがバーキンと交感していることは伝わってくる。ヴァルダが「誰と共演したい?」と問うとバーキンが「マーロン・ブランド」と答え、ヴァルダが「出演料の安い人を」と応じる。すると次の場面でジャン=ピエール・レオが登場。この間合いに微苦笑する。ヴァルダ映画の刻印たるトラッキング(カメラの横移動)は本作でも優雅だ。