サム・ライミ版スパイダーマン完結。魅力的なヴィランたちの登場に胸踊ったが、やや詰め込みすぎな印象。だけど、シリーズの中では一番好きでした。
スパイダーマンのレビューを見るのって面白いですよね。人によって評価がバラバラで、本シリーズこそ人の好みで大きく評価が変わる映画じゃないかなと。
若かりし頃に観た本シリーズ、当時は私も傑作だと感じていましたが、MCU作品のシリーズとしての完成具合に度肝を抜かれたばかりなので、「ヒーローとしての立ち位置」に少しばかり甘さを感じる。
特に親友のハリーが記憶喪失になってしまった場面。記憶を失ってしまったことをいいことに、まるで問題の先延ばしのようにこれまでのことをなかったことにする主人公ピーター。ヒーローである彼のこの行動には正直幻滅をしてしまいました。
とはいえアクションヒーロー映画としてのワクワク感はハンパなかったです。
まずは父親の復讐心に燃えるハリー扮するニュー・ゴブリンの登場。様々な紆余曲折はありながらも、敵として対峙し、そして協力関係に至り、最期は悲しい結末にという糸を辿るような流れを作りました。
サンドマンの登場も本作にいいアクセントを与えました。ベンおじさんの死の真相と関係しているサンドマンことフリント・マルコ。砂に変わる圧倒的チートな設定も絶望感を与えつつ、最後はうまい具合に伏線回収。素晴らしいヴィランでした。
そして、何よりもヴェノムの登場には心踊りました。今やヴェノムは映画化もしており、その背景を知ることはできますが、当時本作だけで知ろうとするのは困難。だからこそ、ヴェノムが出演したことは嬉しい限りですが、ヴィラン3人の出現はやはり詰め込み過ぎた形になりました。
シンビオートという言葉も口にはされますが、字幕では異なる訳し方になってましたし、そもそもヴェノムってなんぞやってのは2007年からヴェノム公開の2018年までの11年間お預け状態でした。
最後はスパイダーマンがとどめを刺したかに見えましたが、跡形もなく消えていたことから、爆発にかまけてどこかに逃げてしまったのでしょうか。続編も示唆した場面でしたが、次はリブート版アメイジング・スパイダーマンに橋渡しとなります。
あとは色々と悪評目立つMJですが、本作でも変わらず我が道を行く自己中女でした。もちろんピーターもかなり調子に乗っていたのはわかりますが、彼の励ましの言葉も受け入れず、もっと自分の気持ちをわかって！と言葉なくキレてる様は呆れるばかりです。
総じて言うと正直ピーターもバカなんですけどね。
それにしてもグウェン・ステーシー役のブライス・ダラス・ハワードは美しかったですね。バーでMJに嫌がらせとばかりに見せつけるピーターに愛想つかしたところで、「ちゃんとした子でよかった」と感じた次第です（笑）
本作ではヒーローとしての葛藤だけでなく、自分自身との戦いもあり、一度はシンビオートの媚薬的効果に甘えてしまいますが、最終的には親友への歩み寄りなども含めて、ヒーローとして、人間としてのピーター・パーカーを余すことなく出していたところが良かったです。
