Omizu

ハロー・ドーリー!のOmizuのレビュー・感想・評価

ハロー・ドーリー!(1969年製作の映画)
4.5
【第42回アカデミー賞 美術賞他全3部門受賞】
バーブラ・ストライサンドが主演をつとめたミュージカル。『雨に唄えば』などのミュージカル俳優ジーン・ケリーが監督をしている。アカデミー賞では作品賞など7部門にノミネートされ、美術賞、録音賞、作曲賞(ミュージカル映画)の3部門で受賞した。

興行的には大失敗し、これ以降大規模なミュージカル大作は作られなくなったという逸話付きの本作。作品としては実に素晴らしい出来だった。

正直舐めてたかも。ミュージカル映画ってこうよな!っていうのを体現してくれた。豪華なセットで大スターが楽しく歌い踊る、その醍醐味を感じさせてくれる一作。

バーブラ・ストライサンドの歌唱力とキャラクターの理解力は疑いようがない。「何でも屋」の未亡人ドーリーを見事に演じていた。物語的に怪しい部分はあるけど彼女の存在感で帳消しになる。

ドーリーとホレスの恋の駆け引きが一応主軸になっているのだが、それが丸く収まる終盤はやや唐突。ホレスがドーリーに急に想いを寄せたように思えてイマイチ納得できず。でもバーブラの前ではそんなの吹き飛んでしまう。愛は全てに勝つ。それが体感できるような見事な演技をみせていた。

ミュージカルシーンではパレードのところが「これぞハリウッド!」という感じでよかった。膨大なエキストラに圧倒される。その中でバーブラの放つ存在感!さすが。

ホレスの店の店員二人、彼らと惹かれ合う女性たち、ホレスの姪カップル、どれもはまり役。特にホレスの姪と恋におちる貧乏画家を演じた人、足長すぎてビビった。調べたら199cmもあるらしい。異次元。

未亡人ドーリーの企み、本来は邪悪に描かれてもいいくらいのことをしているが、それをチャーミングにみせるバーブラの演技とジーン・ケリーの演出力が素晴らしい。

圧倒的なバーブラの歌唱を観るだけでも一見の価値ありだが、それ以上にミュージカル映画として何もかもがあるような出来だった。ワクワクさせる歌とダンス、恋の駆け引き…これがハリウッド大作に求めているものなんだ。興行的には失敗したらしいが作品賞ノミネートも納得の傑作だった。
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