ゴッドファーザーとはまた一味違うパワーに溢れた映画。
キューバから追放されたちっぽけなチンピラだった男が、依頼された麻薬の仕事を遂行したのをきっかけに、持ち前の度胸でグングンのし上がり、金も女も権力も何もかも手に入れ、と思いきやみるみる転落して最後は破滅するという、まあストーリー自体はよくあるのかもしれんが、アルパチーノの迫真の演技力のおかげでぐいぐい引き込まれる。自分を狙ったフランクをぶち殺すあたりの獣のようなギラギラした顔も、そして終盤の死んだ魚のように生気を失ったあの顔も、どちらもリアリティが凄い。
最後、女子供を殺したくないという良心のカケラが見え隠れしたが、部下を衝動的に殺した時点で吹っ飛んだ。嫁より妹のほうが大事という家族愛がこんな奴にもあるのかと思うと、ちょっと泣ける。
