genarowlands

さすらいの女神(ディーバ)たちのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

4.0
余韻がたまらない。フランス映画らしい情緒と大人の味わいに酔った。甘い人肌の匂いがする。マチュー・アマルリックが監督、主演したロードムービー。実際のニュー・バーレスクのダンサーたちが出演し、生きるパワーを余すことなく魅せてくれる。

マネージャー、ジョアキムは故郷のフランスにダンサーたちを引き連れて凱旋するが、知人たちから冷たい仕打ちを受ける。かつて有名テレビプロデューサーだったジョアキムは心ないやり方のため業界から干されて渡米していたのだった。

ダンサーたちの<私は私>といきいきと自由に自己表現して魅力的なショウを見せるのに対して、焦燥感と自責の念に駆られるピリピリしたジョアキムとが対照的。小者感を感じさせる演出を随所に入れて情けない男を演じるアマルリック。それでも色気がだだもれしている。

ニュー・バーレスクは自己を解放させる大人のためのユーモアあふれるショウ。成功したかった男が、自分を大きく見せることなく、生きる力に素直に抱かれ、自分を取り戻していく。

花形の踊り子ミミは実名で出ている。ボリュームある体と柔らかい線はそこにいるだけでぬくもりと確かな安心を与えてくれる。

原題は「ツアー」。人生をたとえて。
genarowlands

genarowlands