あかつか

七つの顔のあかつかのレビュー・感想・評価

七つの顔(1946年製作の映画)
3.5
作製社會式株映大。1946年。

今となっては多羅尾伴内よりも松尾伴内のほうが有名だろうけど(若い人は松尾伴内すら知らないかも)、片岡千恵蔵がこれきっかけで永田雅一と揉めたそうで、日本映画トラブル史の重要な位置を占めていると思う。

轟夕起子は『洲崎パラダイス赤信号』の飲み屋のおばちゃんか『細雪』の長女のイメージが強かったんだが、宝塚出身で、若い頃は原節子級に可愛かったんだな。えくぼがキュート。

「ある時は多羅尾伴内…またある時は奇術師…またある時は新聞記者…しかしてその実態はぁぁぁっ…!!」系のセリフの元祖らしい。

「七つの顔」というタイトル通り、主人公の探偵(片岡千恵蔵)が七変化を繰り返して事件を解決するお話。そもそも片岡千恵蔵の顔をよく知らん上に思い入れも大してないので、七変化されてもいまいち楽しめなかったのが悔しい。主人公の顔くらいちゃんと予習しとくんだった。

ヒットはしたものの当時の批評家からの評判はひどかったらしく、ウィキペディアによると「七変化しても観客には片岡千恵蔵と一目瞭然」(←片岡千恵蔵ってわからなかったらつまんないと思うが)とか「そもそも変装が推理や捜査に関係ない」(←確かにむりやり七変化してるフシはある)とか。永田雅一は永田雅一で、「多羅尾伴内なんて幕間にすぎない。もっと芸術性のあるものを作る」と言い出す始末。ひでぇな。一言多いよな。

片岡千恵蔵からしたら「俺が大映の屋台骨を支えてやってんだぞ」って思うだろう。結果、千恵蔵さんは永田雅一とケンカして、大映から東横映画をへて東映に移籍するという事態に。恐るべし多羅尾伴内。


なお、多羅尾伴内はというと、片岡千恵蔵のほか、小林旭版もあるようで。片岡千恵蔵と小林旭じゃだいぶイメージ違うような。見てみようっと!
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