1923年から活動を開始したウォルト・ディズニー・プロダクションで1929年から1939年にかけて7分前後の短編アニメーション作品群が75本制作されたシリー・シンフォニー（Silly Symphony）シリーズ。これらにはおなじみのディズニーキャラクターは登場せず、季節などを描写する作品となっている。
これだけカラーアニメーションの黎明期の作品でありながら、今見ても全く見劣りのしない自然且つ愛くるしいデフォルメ、現実世界の本物よりも本物らしい動きを具現化した作品の数々は見応えがある。
やがて1940年代に入ると、第二次世界大戦により海外市場（主にヨーロッパ）との関係が断たれ製作費が不足する一方、ディズニー社内でも過酷な労働条件に対する労働争議が勃発する中で優秀な人材が流出。こうしたあおりを受け、1955年には、30年もの歴史をもつ短編映画部門が廃止されてしまう。こうして過去のものとなってしまった同シリーズであるが、アニメ史の萌芽としてだけではなく、アニメーションそのものの完成度は見落とされるべきではない。
夢を叶えるディズニー作品たちの一つとして残ってほしい。
