HAYATO

トゥモロー・ワールドのHAYATOのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
4.3
2024年113本目
2度のアカデミー監督賞を誇るメキシコの名匠・アルフォンソ・キュアロンが手がけたSFアクション
P・D・ジェイムズのベストセラー小説『人類の子供たち』を原作に、人類が繁殖能力を失った近未来のイギリスで、奇跡的に妊娠を果たした若い女性を守ることになった男の姿を描く。
人類に子供が生まれなくなった西暦2027年。国家官僚のセオは、元妻のジュリアン率いる反政府組織に拉致される。彼らの目的は政府の検問を通過できる通行証。迷いながらも協力を決心したセオは、人類存亡の鍵をめぐる争いに巻き込まれていく。
セオ役は、『ボーン・アイデンティティー』のクライヴ・オーウェン。共演に、『ハンニバル』のジュリアン・ムーア、『ウォルター少年と、夏の休日』のマイケル・ケイン、『ドクター・ストレンジ』のキウェテル・イジョフォーなど。
不妊症の蔓延によって人類が滅亡の危機に瀕し、ほとんどの国家は壊滅状態にある中、イギリスだけがギリギリ秩序を保っているという設定は、少子化が深刻化した先に待ち受けている未来を示しているようで甚だ恐ろしい。
本作の最大の見どころは、圧倒的な臨場感をもたらす「長回し」のシーンのいくつか。ヴェネチア映画祭オゼッラ賞(技術貢献賞)を受賞するなど、世界的に高く評価されているそれらシーンは、必要に応じて複数のテイクをコンピュータ処理によって1つのショットにつなぎ合わせてあるそうだけど、素人にはテイク間の繋ぎ目がどこかは全くもって判別不可能。セオが銃撃を耐え凌ぎながら逃げ回るクライマックスは群を抜いて素晴らしく、8分間にも及ぶその場面を完成させた製作陣に心から尊敬の念を抱いた。
シャーリーズ・セロンを主演に迎えるキュアロン監督の新作が楽しみ。
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